8月13日(金)に開幕を迎える2021-22シーズンのプレミアリーグ(イングランド1部)。いわゆる注目の若手にサンチョやフォーデン、メイソン・マウントといった既に世界的な知名度を誇る選手を紹介するのは無難すぎて面白みに欠けるかと思いましたので、個人的にブレイクの可能性を秘めた市場価値が1000万€以下の選手を中心に選出いたしました。各クラブから1名ずつを選出、計20選手の紹介となります。
マンチェスター・シティ
コール・パーマー(19歳)市場価値:50万€
王者マンチェスター・シティではシティ・グループと呼ばれる仕組みで世界中の若手選手を獲得する動きが見られているが、実情はクラブの生え抜き選手を重宝する傾向があるため注目すべき選手はそういった選手になるだろう。いくつかの才能を持った選手が多いなかでも、ジョゼップ・グアルディオラのお気に入りとなっているのがコール・パーマーだ。可能な限り少ないタッチ数でのプレーを心がけており、昨季からトップチームの空気には慣れているため、フォーデンのようなストーリーを歩む可能性もあるだろう。
マンチェスター・ユナイテッド
アンソニー・エランガ(19歳)市場価値:80万€
昨季の最終節で初ゴールを記録しMOMにも輝いた彼は、プレシーズンでも得点を奪うなど印象的な姿を見せている。直近で軽微な負傷で離脱しているが、チームメイトのブルーノ・フェルナンデスも彼の才能を認めるなど好印象を与えているため、新たなシーズンでも出場機会を得る可能性もあるだろう。トップチームでは簡単にリスクを取った仕掛けは行わず、流れのなかで勝負できるシーンだけを選択するなどユースとは違った一面を見せている。一方でレンタルを組まれる可能性もあるようだ。
リヴァプール
ジェイク・ケイン(19歳)市場価値:未設定
基本的にリヴァプールU23の戦力と数えられていた彼だが、プレシーズンではシニアサイドに介入できる選手として評価を高めている。アシスタントコーチのペピン・リンダースは手放しでその才能を賞賛しており、ジニ・ワイナルドゥムが欠けた部分を補える1人として期待が集まっているだろう。少なくともビッグゲームを除いた下位相手やカップ戦では出場機会を得るには充分な実力を持っているため、カーティス・ジョーンズのような飛躍をする可能性もある。
チェルシー
ファウスティーノ・アンジョリン(19歳)市場価値:230万€
昨シーズンのチャンピオンズリーグを制覇したチェルシーだが、下部組織からトップチームに介入するのは難しく、ビリー・ギルモアやアルマンド・ブロヤがローン移籍。また、リーズに移籍したルイス・ベイトを始めとするユースカテゴリの選手の契約延長も滞るなどあまりいい流れとは言えないだろう。そんな状況でもティーノ・アンジョリンはトップチームでも活躍できるポテンシャルを備えている。しかし、COVID-19の影響で10~12日間の離脱を強いられるなど不運が重なっているため、チェルシーの若手選手はかなり困難な状況に置かれているところだ。
レスター
ルーク・トーマス(20歳)市場価値:500万€
昨季はFAカップ、そして今季の始まりを告げるコミュニティ・シールドで幸先よくスタートを切ったレスター・シティにおいて、注目株となるのがルーク・トーマスだろう。左サイドバックからサイドハーフまでを幅広くこなし、パンチ力のあるシュートも持っている彼はより多くの出場機会を得ることが予想されており、新加入のライアン・バートランドからも学ぶことがあるはずだ。
ウェストハム
ベン・ジョンソン(21歳)市場価値:300万€
某陸上選手と同名であることやレドリー・キングの従兄弟と知られる彼は、ウェストハムの新たな顔となる可能性を持っているだろう。2020/21シーズンのヤング・ハンマー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀若手賞)に選出されるほどの期待を受け、様々なポジションをこなせるユーティリティ性からプレミアリーグでも既に14試合に出場している。
トッテナム
オリヴァー・スキップ(20歳)市場価値:1000万€
昨季は出場機会を求めてチャンピオンシップ(イングランド2部)のノリッジ・シティにローン加入した彼は、最終節を除いた45試合でハイパフォーマンスを見せており、ノリッジの優勝&1部昇格を掴んでいた。リーグの年間ベストイレブンにも名を連ねた評価を引っさげてトッテナムに帰還しているが、彼を取り巻く環境は未だに模索段階にある。新指揮官のヌーノ・エスピリト・サントからは絶対的な信頼を得ていないと言えるだろう。ただ、18歳でトップデビューを飾った実力は折り紙付きであり、プレミアリーグでも成功できるような選手であるため、出場した試合ではその実力を見せてくれるはずだ。最終的な判断で再びローンで出される可能性もあるため、その判断がどう影響するのか注目してほしい。
アーセナル
フォラリン・バログン(20歳)市場価値:400万€
下部組織出身の優秀なアタッカーの輩出が続いているアーセナルにおいて、次なるブレイク候補がフォラリン・バログンだ。彼は長期間に渡ってアーセナルとの契約延長交渉が頓挫していたが、新たな契約に署名しトップチームにその舞台を移している。純粋なストライカーとして貪欲にゴールを狙う姿勢はU23カテゴリでも敵なしの状況にあるため、そのスキルがトップカテゴリでも見られることだろう。
リーズ
クリセンシオ・サマーヴィル(19歳)市場価値:150万€
プレシーズンマッチの成績が思わしくないリーズにおいて、指揮官のマルセロ・ビエルサはU23チームにも定期的に顔を出しながら新たな起爆剤を探しているという。そこで目を引いたのがクリセンシオ・サマーヴィルだ。彼は昨夏にフェイエノールトからリーズU23に加入したウィンガーであるが、ローンで在籍していたデン・ハーグではエールディヴィジ(オランダ1部)でもプレーしていたなど、本来であればU23カテゴリに留まる選手ではない。その実力をビエルサにアピールしているため、思わぬサプライズとなるのではないか。
エヴァートン
ネイサン・ブロードヘッド(23歳)市場価値:50万€
主力が不在でプレシーズンが進んでいたエヴァートンにおいて、嬉しい誤算となったのがネイサン・ブロードヘッドの存在だろう。エヴァートンU23の所属下で既に23歳と後がない彼は、プレシーズンマッチでのパフォーマンスがファンだけではなく、ベニテスにも感銘を与えたと思われるためラストチャンスを今季は得る可能性があるはずだ。素晴らしいオフ・ザ・ボールの動きはプレミアリーグでも見たいと思わせる。
アストン・ヴィラ
フィロジン=ビデイス(17歳)市場価値:100万€
ジャック・グリーリッシュの退団や合流の遅れなどで開幕に向けたウィンガーの固定が定まらないアストン・ヴィラにおいて、プレシーズンで最も良い動きを見せているのがU23カテゴリに所属するフィロジン=ビデイスだ。昨季はわずか数分程度ながらプレミアリーグデビューを果たしており、このペースで進めば開幕戦にて左ウィングに大抜擢を受ける可能性もあるだろう。
ニューカッスル
マシュー・ロングスタッフ(21歳)市場価値:500万€
兄ショーンのブレイクに続いた覚醒が期待されるのが弟のマシュー・ロングスタッフだ。既にプレミアリーグでは14試合で2得点を記録しており、トップチームのペースには適応しているため自信をつけることでプレミアリーグでも有数の若手に成長を遂げるのではないか。
ウルブズ
モーガン・ギブス=ホワイト(21歳)市場価値:700万€
2018/19シーズンに印象的な姿を見せていた彼だったが、以降の2シーズンでは主力に定着できず才能はくすぶっていたとされていた。しかし、今季のプレシーズンキャンプでは新指揮官のブルーノ・ラージを唸らせるパフォーマンスで再覚醒の雰囲気を漂わせており、チームメイトのコナー・コーディからも学ぶ姿勢が評価されているなど、満を持してトッププレーヤーになるための準備が完了している。
クリスタル・パレス
タイリック・ミッチェル(21歳)市場価値:700万€
パトリック・ヴィエラが新たに就任したクリスタル・パレスでは、アーロン・ワン・ビサカの昨夏の退団に伴って左サイドバックの定位置争いが激化していた。タイリック・ミッチェルもその1人となっているが、今季はファン・アーンホルトがガラタサライに移籍したことで左サイドバックのスタメン格を確保すると思われる。ヴィエラはボール保持時に彼がより攻撃的に介入することを望んでいるため、彼の特徴的なプレーは指揮官の希望と一致している。
サウサンプトン
ヴァレンティノ・リヴラメント(18歳)市場価値:未設定
昨シーズンのチェルシーにおいて年間最優秀アカデミー選手賞に輝いた逸材は、U9から所属しているチェルシーではなくサウサンプトンに新天地を求めていた。まだサウサンプトンに合流してからは日が浅い状況で、どれだけフィットできるかは未知数ながらも彼が持っている優れたサイド/ウィングバックとしてのポテンシャルはサウサンプトンの戦力になるだろう。
ブライトン
モイゼス・カイセド(21歳)市場価値:500万€
日本人としては三笘薫の獲得で記憶に新しいブライトンだが、彼らは世界中の若手選手(それでも既にその国のリーグで活躍している即戦力候補)をかき集めている姿が印象的なクラブだ。そのため、ブレイク候補として挙げることのできる選手数は多く、10番を着用するアレクシス・マック・アリスターも捨てがたいがここはモイゼス・カイセドを推したい。彼は動向に注目が集まるビスマに次ぐ存在になれるポテンシャルを持ったアンカータイプであり、エクアドル代表としてもコパ・アメリカの全試合に出場している。
バーンリー
ネイサン・コリンズ(20歳)市場価値:800万€
昨季はギリギリの順位を降格の危機を免れたバーンリーだが、課題となる守備の改善として1400万ユーロの金額を費やしてストーク・シティからネイサン・コリンズを獲得した。チャンピオンシップでストーク・シティの守備を支えたセンターバックは、193cmのフィジカルを武器にプレミアリーグでも対人戦・空中戦での勝率を高くプレーできるかに注目が集まるだろう。
ノリッジ
ジョシュ・サージェント(21歳)市場価値:800万€
圧倒的な強さでチャンピオンシップを制覇したノリッジは1部への定着に向けて積極的な補強を行っている。そんな補強でも目玉の1つとなっているのが、2.ブンデスリーガ(ドイツ2部)に降格したブレーメンより加入したジョシュ・サージェントだろう。アメリカ代表にも定着しているこのフォワードは、昨季のブンデスリーガで32試合5得点2アシストを記録し、直前の2.ブンデスリーガでもデュッセルドルフ戦で2得点を奪う活躍で好調であることをアピールしている。また、ブレーメンで共にプレーしたミロト・ラシツァもノリッジに加入しているため、彼の存在はプレミアリーグ初挑戦となる彼にとって大きなサポートとなるはずだ。
ワトフォード
ジョアン・ペドロ(19歳)市場価値:1000万€
2020年冬にワトフォードに加入したブラジルの若武者は最初の半年間では戦力にはなれず我慢の時間を過ごしていた。そのシーズンにはワトフォードが降格するも、彼にとっては心機一転でチャンスが巡ってくる場となっており、昨季はチャンピオンシップで38試合に出場し、9得点3アシストと10代ながら好成績を残している。プレミアリーグに返り咲いた今季こそ、彼の真価が問われることになるため要注目だ。
ブレントフォード
クリストフェル・アイェル(23歳)市場価値:700万€
主将のポントゥス・ヤンソンを除いたすべての選手が20代以下となる若いブレントフォード。降格候補筆頭にも挙げられるなかで求められるのが守備の安定であり、そこでの期待が集まるのが1570万ユーロで加入したクリストフェル・アイェルだろう。ノルウェーの若きセンターバックはスコットランドのセルティックで経験を積んでおり、初のイングランド挑戦となる今季において彼の活躍は不可欠だ。