名前 | イライシュ・モリバ(Ilaix Moriba) |
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生年月日 | 2003年1月19日 |
国籍/出身 | ギニア / スペイン(マセンタ) |
身長 | 185cm |
ポジション | CMF |
所属 | FCバルセロナ |
※イライシ・モリバ、モリバ・クルマとも表記される
ラ・マシアの常識を覆す中盤の新たな支配者
プレー動画
経歴
■2003-2020年(幼年期~FCバルセロナ)
彼はリベリアとギニアの国境に接したロファ郡出身の父であるママディ・クルマと、典型的なイスラム教徒でギニア出身の両親を持つ母の間に生まれており、ギニア共和国のマセンタ県で幼年期を過ごしていた。3歳となる頃にバルセロナに移り住み、地域を代表するクラブの1つであるRCDエスパニョールの下部組織にてキャリアを始めると、常に年上の選手を相手にプレーしていたという。その存在が同じくバルセロナをホームタウンとするFCバルセロナによって見つかると、2010年に引き抜かれる形にてFCバルセロナに入団した。
ラ・マシアでの生活が始まり、デニス・シルバは当時9歳の彼が他の選手とは違うものを持っていたことが明らかだったと語るなど才能は飛び抜けていたという。一躍その名が知れ渡ることになったのは、2018年8月にフベニールB(U18)でレアル・マドリードを相手に記録したハットトリックであり、15歳とは思えないセンセーショナルな活躍から注目を集めるようになっている。そこから1年後にラ・マシアの宝と呼ばれていたシャビ・シモンズがパリ・サンジェルマンに移籍することになった際も、モリバが同ポジションに控えている安心感があったことでサポーターへの影響も和らげたそうだ。
ギニアビサウ出身の親友であり兄とも慕っているアンス・ファティと共に飛び級にてフベニールA(U19)に昇格すると、初年度はフベニールB(U18)でも彼を指導していたデニス・シルバの下で出場機会を与えられていた。2019/2020シーズンも引き続きフベニールAから始まっていたが、ビクトル・バルデスが指揮官に就任したことでフロントの意向にそぐわないビクトル・バルデスの独断によりスターティングメンバーから外されるなど、結果的にはビクトル・バルデスが解任されたことで出場機会を取り戻しているが不遇な時期も訪れていた。
しかし、同シーズンはバルセロナB(リザーブ)を率いるガルシア・ピミエンタによってBチームでのトレーニングに参加するようになると、2019年9月にはSDエヘア戦にてセグンダ・ディビシオンB(3部リーグ)でのデビューも飾っている。その後もUEリャゴステラ戦での初ゴールを含んだ8試合に出場するなど、もはやフベニールAで収まる器ではないことを証明した。ピミエンタとしてもリキ・プッチがトップチームに昇格した後は彼をチームの中心に添えたい意向を持っているため、2020/2021シーズンはバルセロナBの中心選手になることが予想されている。
代表歴
ギニアからの移民であるが、2019年3月以降はスペイン代表として世代別代表のキャリアを歩んでいる。2019年のU-17欧州選手権では負傷離脱をしていたが、復帰後の2019年10月にはU-17ワールドカップの登録メンバー入を果たし、ベスト8でフランスに敗れるも個人としては4試合で1得点・2アシストの成績を残している。
このままスペイン代表としての道を進むかと思われていたが、父親の母国であるリベリアと生まれ故郷であるギニアの各協会は積極的なアプローチを続けており、両親も彼がギニア代表としてプレーしてくれるのが夢だと語るなど決断を迫られていた。2020年3月にはギニア代表の指揮官であるディディエ・シクスが直接訪問した際に、彼がギニア代表を選んだことをインタビューでほのめしたことで大きな衝撃を与えている。現在は新型コロナウイルス感染症の影響により進展はないが、2020年6月以降に改めて大きく報じられるだろう。
移籍の噂
2019年1月に16歳の誕生日を迎えた彼にとって、最初に訪れるべき出来事がプロ契約だった。しかしながら交渉は難航しており、2019年3月にはあろうことか契約更新の打診メールがRCDエスパニョールに誤送信されるなど不備も見られている。その事実を両クラブとも認めており、エスパニョールは冗談混じりに「彼はトップチームの数名より多くの金額を貰っているだろう」と話し、実際にフベニールAでは最も給与が高い打診だったという。
2019年4月にようやくFCバルセロナとの最初のプロ契約を締結すると、2022年6月末までとなる3年契約と違約金が1億ユーロに設定されることとなった。契約では年間200万ユーロ(約2億4000万円)の給与を得ることになるとも報じられている。プロ契約前には近年のラ・マシアからの流出が多いようにマンチェスター・シティを始めとする複数のビッグクラブからの関心を集めていたがプロ契約以降は報道にも落ち着きを取り戻している。
プレースタイル
185cmのフィジカルを持った右利きのボランチまたは攻撃的なミッドフィールダーであり、良い意味でこれまでのバルセロナらしくないNo.6として注目を集めている。これまでのバルセロナではシャビやイニエスタ、直近だとリキ・プッチのような小柄ながらも知性と卓越した技術力を際立たせたタイプの選手が多い中、彼は185cmの印象的なフィジカルを活かしたオールラウンダーなミッドフィールダーであり、無尽蔵のスタミナと俊敏性で攻守に渡り貢献度の高いボックス・トゥ・ボックスなプレーヤーだと呼べるだろう。
こうしたオールラウンダーな能力からポール・ポグバやヤヤ・トゥーレと比較されており、ポグバと比較されることに嬉しさを感じながらも、彼自身はミッドフィールダーを志す動機となったのはブスケツとイニエスタであることを念押ししている。これまでのラ・マシア産の常識を覆す存在であることは間違いないため、そう遠くない間にトップチームで名前を聞くことになりそうだ。