名前 | オクタヴィアン・ポペスク(Octavian Popescu) |
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生年月日 | 2002年12月27日 |
国籍/出身 | ルーマニア(トゥルゴヴィシュテ) |
身長 | 180cm |
ポジション | WG/AMF |
所属 | FCSB |
ルーマニアの専門家を唸らせるFCSBの最高級な才能
プレー動画
経歴
■2002-2014年(幼年期~GSAN)
ルーマニアにかつて存在していたワラキア公国の首都トゥルゴヴィシュテに生まれた彼は、Grup Școlar Agricol Nucetと呼ばれるルーマニアの農業学校にて教育課程をスタートさせていた。同学校では小学校2年生の頃よりサッカーを始め、当時から本気でサッカー選手になることを目標としトレーニングを休むことはなかったとコーチは語っている。「タヴィ」の愛称で親しまれていた彼は、入団テストの意味合いも兼ねられたリーガル・ブカレストとの練習試合に参加すると、リーガル・ブカレストのコーチであるラドゥ・ガブリエルに「彼はチームの価値を50%高めることができる。今まで見たことないようなフットボールの知性を持っている」と称賛され、小学校課程を終えた12歳よりリーガル・ブカレストに加入することになっていた。
■2014-2020年(リーガル・ブカレスト)
リーガル・ブカレストはアトレティコ・マドリード(スペイン)との提携関係にある育成クラブであり、同世代のラドゥ・ドラグシンを輩出したことでも知られている。そんなクラブで12歳ながら首都ブカレストでの寮生活が始まると、7人家族で育ってきた賑やかな環境であったことから最初の数ヶ月間はホームシックに苦しんでいたという。しかし、24人の同じような環境でプレーしているチームメイトや寮母の支えもありながらそれらを克服しつつあった。ユースカテゴリでの彼を象徴するエピソードとしては、2016年に14歳ながらヴィトルル・コンスタンツァU17との試合に出場した際、彼がボールを持ちすぎたことによって失点を招いたのだが、彼はチームメイトに謝罪しなかった。だがその後、16メートル離れた位置から対角線上を狙ったシュートを試みており、そこで彼の性格(3歳年上でのプレーに臆することなく、前向きに物事を進めようとしたこと)が評価されたのだ。
翌年にはラドゥ・ドラグシンらと共にU15カテゴリでの優勝に貢献するのだが、2018年以降は代理人とオーナーに振り回されるような生活が始まっている。最初はラピド・ブカレストに加入するのだが、日が経つにつれて彼がクラブの所有物ではないことに気づくと、試合に出場することを許されずに約半年間の在籍にて退団。その後、ウニヴェルシタテア・クラヨーヴァに移籍しセカンドチームの試合にも出場するのだが、約9万ユーロのオプションを持っていたのにも関わらず、FCSB(前:ステアウア・ブカレスト)が土壇場で彼を奪い去ったのだ。
この移籍劇は裁判沙汰となりFCSBの財政難やオーナーの変更といった様々な要素が絡み合った内容であり、彼自身はクラヨーヴァとの契約延長に署名しなければFCSBに加入することを事前に知っていたと明かすなど、リーガル・ブカレストを離れた時点でFCSBの選手になることが決まったような関係性を構築していたことからラピド・ブカレストとクラヨーヴァの反感を買ったものだと読み取れる。
■2020-2021年(FCSB)
なにはともあれ名門クラブの一員となった彼は、リーガ1(ルーマニア1部)第4節のFCアルジェシュ・ピテシュティ戦にてトップデビューを飾り、年末以降は重要な立ち位置で主力に定着したことで、レギュラーシーズンの24試合に出場し1得点7アシストの成績を収めていた。2021年4月からはリーグ優勝を決めるチャンピオン・ラウンドに出場し、FCボトシャニと古巣ウニヴェルシタテア・クラヨーヴァ戦では得点を挙げるなど優勝に向けてチームを牽引している。
代表歴
2020年まではルーマニアの世代別代表に招集歴を持たなかったが、FCSBでのパフォーマンスが評価されたことで2021年3月にU21欧州選手権においてルーマニアU21でのデビューを飾っている。
移籍の噂
現時点では移籍の噂も報じられていないが、FCSBは2021年2月に彼の契約解除金としてフロリネル・コマンと同様にルーマニア史上最高額となる1億ユーロに設定。FCSBのオーナーであるジジ・ベカリによる牽制であるが、デニス・マンをパルマに1300万ユーロで売却したように彼にはそれ以上の金額が必要であることを示唆している。また、弟のダニ・ポペスク(2007年生)もジジ・ベカリによって保護されているという。
プレースタイル
ルーマニアの専門家は口を揃えて彼を高く評価しており、60年代~70年代に活躍したフロレア・ドゥイトラチェや記憶に新しいアドリアン・ムトゥといったレジェンドとの類似性を感じさせると表現。右利きの彼は主に左ウィングをトップカテゴリではメインとしており、ボールに触れただけで才能を感じさせるテクニックが最大の武器だ。
足に吸盤がついているのかと錯覚するほどに滑らなかなボールタッチと一瞬の加速で突破を図るほか、ペナルティボックスの角から対角線上を狙うシュート、相手ディフェンスをあざ笑うかのようなループパスでのアシストなど持ち前の頭の回転を活かしたゴール前での影響力は多大なものを持っている。ネイマールのプレーを参考に試合で再現したことから、一部ではルーマニアのネイマールとも称された。