マティアス・フェルナンデス=パルド

選手紹介
名前マティアス・フェルナンデス=パルド(Matias Fernandez-Pardo)
生年月日2005年2月3日
国籍/出身ベルギー
身長183cm
ポジションCF/WG
所属KAAヘント

最終盤のサプライズとなったNo.9.5

プレー動画

経歴

■2005-2020年(幼年期~LOSC)

彼の詳細なルーツやキャリアは不透明な部分が多いが、初期キャリアを名門『RSCアンデルレヒト』にて過ごした後、次なるクラブとしてブリュッセルとアントウェルペンの中間に位置するメヘレンを本拠地とした『KVメヘレン』に移りながら、同クラブでは約2年ほどプレーしていたという。ルーツについては「Fernandez」「Pardo」という名前からスペインまたはポルトガルが推察されながら、TrasnferMarkt上では国籍の欄にスペインも表記されているなどスペインは彼のツールであると考えられる。

KVメヘレンの後には最初の海外挑戦となるフランスの『LOSC』の下部組織に入団しており、ベルギーとの国境に近いフランス北部のリールにてユースカテゴリでの挑戦を選択。記録が残っている範囲では14歳で迎えた2019/20シーズンをU15/U16カテゴリでプレーし、同世代のレニー・ヨロと共にチームを牽引しながらフランス国内にて育成されていた。LOSCでは充実した時間を過ごしていたと語る彼だが、母国ベルギーでプレーする選手の方がフィジカルレベルにおいて高いと感じており、LOSCに残る選択肢がありながらも『KAAヘント』に移籍する形で再びベルギーでの舞台を選択した。

■2020-2024年(ヘント)

ヘントのトップチームスカウトであるティム・マティスは加入時のコメントとして「素晴らしいポテンシャルを持った少年だ。爆発力があり、俊敏なストライカーである。」と紹介しており、高い期待値とともにヘントではU16カテゴリに加入している。2年後の2022/23シーズンにはクラブによってベルギー3部への参戦が発表されたセカンドチーム相当のヨング・KAAヘント(U21)に昇格しており、クラブ内の積年の課題であった若い才能の出場機会を解決するための恩恵を彼もまた得られていた。

エミリオ・フェレーラの指導下においては2022年9月のOHルーヴェンU23戦にて3部デビューを飾り、フル出場を繰り返すなど主力として定着。第17節のRFCリエージュ戦で記録したシニアカテゴリでの初ゴールを含め、2022/23シーズンの3部リーグでは26試合2得点の成績を残している。同シーズンの2023年2月にはUEFAヨーロッパカンファレンスリーグにてベンチ入りを果たし、3月のベスト16ラウンド1stレグとなるバシャクシェヒルFK戦では拮抗した試合最終盤の切り札としてTOPデビューも達成するなど、18歳の誕生日を迎えたタイミングで夢の舞台を経験している。



2023年4月のRFCスラン戦にてジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー1部)でのデビューを飾りながらシーズンを締め括った彼は、2023/24シーズンの開幕直前にクラブとの契約を更新。ハイン・ヴァンハーゼブルックが率いるTOPチームにてプレシーズンを過ごしていたが、やはり出場機会はヨング・KAAヘントを中心としたものであり、年明けまでの期間でTOPチームで得られた出場時間は4試合(100分程度)に留まっていた。さらに冬の移籍市場ではクラブが新たなウィンガーとして横田大祐、モモドゥ・ソンコ、フランク・スルデスを獲得するなど、TOP定着への道のりが険しさを増す中で彼は新たな選択肢を探し始めていたという。

こうした状況に目をつけたのがUSレッチェ(イタリア)とレアル・バリャドリード(スペイン)の2クラブであり、買い取りオプション付きのレンタル移籍としての交渉を模索していたが交渉は破断。彼自身も退団こそ強く望んでいなかったが、その一方でプレー機会に飢えていたと語るほどの心境でありながらも、逆にマリク・フォファナやギフト・オルバンといった前線の主力が退団した影響でチャンスが平等に訪れることに期待しており、その期待を胸に残留を決断している。

その決断が功を奏したのが2024年3月に入ってからであり、ウーゴ・カイペルスの抜けた穴を埋められない状況が続いていたことに加え、新加入選手の相次ぐ負傷離脱もありながら第28節のスタンダール・リエージュ戦にスターティングメンバーでの出場機会が到来。それはこれまで本職としていたウィングやトップ下ではなくセンターフォワードとしての起用であり、セカンドトップ(彼の言葉で表すと9.5番)のような役割を求められていた。すると、レギュラーシーズンの最終節となるシャルルロワ戦でストライカーさながらの嗅覚で初得点を記録し、続くプレーオフシリーズでは11試合で7得点2アシストと瞬く間にチーム随一のストライカーとして君臨するなど、シーズン最終盤のサプライズとなっているところだ。

代表歴

LOSCでプレーしていた時期からベルギーU15に招集されており、U17/U18を経ながら2023年9月にはベルギーU19でのデビューを果たしている。

移籍の噂

2024年1月の移籍市場にて退団も噂されていたが、プレーオフでの急激なアピールによりTOPチームに定着することに彼は成功している。契約は2026年6月末まで残っているため残留の線が濃厚であるが、19歳という若さも重なりながら引き抜きについても報じられることだろう。代理店は多くの若手選手を抱えているDWスポーツ・マネジメント社だ。個人的には新境地を開拓して間もない時期であるため、早々と移籍を選択するのは賢い判断ではないと考えられるが、指揮官の変更による影響も未知数だ。

プレースタイル

前段でも触れたように、本来はウィングやトップ下を主戦場としていた彼であったが、ここ数ヶ月はセンターフォワードとしての起用であり、セカンドトップ(彼の言葉で表すと9.5番)のような役割を求められている。ベテランのタリク・ティソウダリと主に併用されながら、ティソウダリの動きに合わせて流動的にポジショニングを落としながらフリーになることを得意としており、そこに対してボールを引き出しながらのゴールを量産している。また、ヘントがチームとして前線からボールを引っ掛けて奪うことを得意としているため、ショートカウンターのような場面で活きる特徴だ。

利き足である右足でのシュートセンスを感じさせるほか、逆足の左足も精度はやや落ちるものも遜色ないレベルで使えることが確認できる。183cmと平均的な身長を持っているがヘディングでの得点機会が少ないことも含めて空中戦での強みはなく、基本的には流れからのプレーで強みを発揮する。元がウィングであるため、サイドに流れてボールを受けた際の1vs1にも強みがあるほか、過去にティム・マティスが評したように爆発的な加速力と機敏さは背後を狙う動きにて十分に活用されている。得点という結果は残しているものも、GKとの1v1やフリーでの簡単な決定機を外す場面もそれなりに見られるため、そのあたりは疑問が残ることだろう。現状としてはヘントの戦術に上手く適応している印象であるため、指揮官やチームが代わった際にどのような姿になるのかは見守っていきたい。

小ネタ

キリスト教徒。

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