名前 | ゼノ・デバスト(Zeno Debast) |
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生年月日 | 2003年10月24日 |
国籍/出身 | ベルギー(ハレ) |
身長 | 189cm |
ポジション | CB |
所属 | RSCアンデルレヒト |
良質なパスを供給し続けるアンデルレヒト産のセンターバック
プレー動画
経歴
■2003-2022年(幼年期~SKハレ)
ベルギー中北部のフラームス=ブラバント州に位置する、古代ヨーロッパ時代から重要な場所として栄えていたハレ(Halle)にて彼は生まれ育っている。父親のラフ・デバスト氏はパジョトンラン地方のアマチュア選手としてプレーしていたのに加え、母親もペピンゲンのチームに所属していたなど、家族全員がフットボールに夢中な環境であった。両親から勧められたわけではないが、週末には父親の試合観戦にも訪れるような日々であったことから自然にボールを蹴り始めると、5歳で最初のクラブである『SKペピンゲン・ハレ(SKハレ)』に加入している。
SKハレでは入団1年目から同世代の子どもたちと比べると優れた技術を見せていたとされ、そんな彼の最初のコーチであるアルビド・デ・コスター氏が立ち上げたプロジェクトを通じながら、わずか1年後の6歳で『RSCアンデルレヒト』からの誘いを彼は受けていた。このアンデルレヒトへの入団については両親の判断が大きいものであったが、自宅から車で15~20分程度の通いやすさも考慮されながら育成の名門クラブへの扉を開いている。ちなみに父ラフは息子がアンデルレヒトに加入したことを機に、これまで応援していたスタンダール・リエージュからアンデルレヒトに心を移したそうだ。
■2009-2022年(RSCアンデルレヒト)
4年生(9歳)となったタイミングでアンデルレヒトと提携関係にあるシント=二クラス学院に転校することでスポーツと学業の両立を目指していた彼は、当時のポジションとしてはディフェンダーではなく攻撃的な位置でのプレーであったという。No.10としてラストパスから決定的なシーンを演出することを望んでいたなかで、彼の転機となったのがモハメド・ウアビの率いるアンデルレヒトU18への昇格であった。
メディカルチェックにおける検査結果として、彼がまだ成長期段階あることが判明するなどディフェンダーとしてコンバートすることを考えており、彼はNo.10の役割から外されたのだ。このスター性のある「アンデルレヒトのNo.10」への道が絶たれたことで退団の可能性も通常であれば考えられたが、彼はそれでもアンデルレヒトに残ることを選択。この決断にウアビも応じる形でディフェンダーからポジションチェンジすることを許さないなど物語が始まっている。
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それまで一度もタックルをしたことがなかったと振り返る彼にとってセンターバックは未知の世界であった。そのため、まずは闘えるフィジカルへの改革から取り組む必要があるなど課題は山のようにあったが、ここでも理解者となったのが同じくディフェンダーとしてプレーしていた父の存在となっている。また、1本のパスミスで次の10本のパスではリスクのないプレーばかりを選択していた精神的な弱さをメンタルトレーナーとの二人三脚で克服したという。こうして現在のセンターバックとしての彼が創り上げられていた。
この成長をウアビはトップチームの指揮官であるヴァンサン・コンパニに報告すると、コンパニも新たなセンターバックとして報告された彼を高く評価。そして2021年5月に行われたジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー1部)のプレーオフラウンドとなるクルブ・ブルッヘ戦で17歳でのトップデビューが実現したのであった。翌2021/22シーズンでの出場機会は限られていたが、シーズン終盤に指揮官の交代があったことや主力の出場停止処分などが重なり5試合に出場。5試合以上に出場できる可能性もあったが、彼自身の負傷離脱によってそれは実現していない。
本格的に評価されたのが2022/23シーズンのことであり、フェリス・マッズ監督が採用する3バックの一角に組み込まれると、UEFAカンファレンスリーグも含めた多くの試合でフル出場。アンデルレヒトとしては下位に沈むなど彼への批判の声も少なからず聞こえており、またしても指揮官の交代が2022年10月に起きたことで今度は4バックに戻る変化もあるが、ここまでの25試合(2,262分)に出場するとして主軸を担い続けているところだ。
代表歴
COVID-19の影響もありながらベルギーU15から常に各世代別代表への招集歴を彼は持っている。世代別代表としての大きな功績はなく、これからに期待が持たれていたなかで、2022年9月に突如としてベルギーのA代表への招集を受けていた。UEFAネーションズリーグのウェールズ代表とオランダ代表の2試合でフル出場を飾り、歴戦の勇者であるトビー・アルデルヴァイレルト、ヤン・フェルトンゲンと3バックを形成するなど試されていた。
11,59 million Belgians. 26 Devils. 1 goal. 🏆 #DEVILTIME pic.twitter.com/wwCAMvlU6k
— Belgian Red Devils (@BelRedDevils) November 10, 2022
そして2022年11月、この2試合のみの出場ながらもFIFAワールドカップ2022の本大会メンバーの1人として彼は選出されていた。通常であればレアンデル・デンドンカーが彼の位置に入ることが予想されるが、クラブでの起用方法や本職を加味したときに彼が1stチョイスとなる可能性も秘めているだろう。
移籍の噂
RSCアンデルレヒトとは直近の契約更新によって2025年6月末までの契約を残しており、6歳から在籍し続けているアンデルレヒトへの愛着は深いものとなっている。現時点で獲得に関心を示しているのがインテルとリヴァプールとなっているが、ワールドカップでのパフォーマンス次第では熾烈な争奪戦となる可能性も高いだろう。ちなみに幼少期に好きだったクラブはFCバルセロナで、好きな選手はクリスティアーノ・ロナウドだったそうだ。英語に加えて、スペイン語を勉強している一つの理由としてもこうした憧れが関係していると考えられるのではないか。
プレースタイル
数年前まで攻撃的なポジションを主戦場としていた彼は、センターバックへのコンバートの際に元々の能力をプレースタイルに加えることでウアビからは「後ろでプレーするNo.10のようなものだ」と表現されている。3バックと4バックの両方における右CBとして起用されると、最終ラインからピッチ上を広く見渡せるようになったことで持ち前の広視野と卓越したロングフィード能力で一気に展開を変える力、相手のプレッシャーを軽やかに交わすテクニックなどボールを扱い前進させる能力に長けたセンターバックだ。
結果的に189cmまで伸びた身長を持つが、筋肉量を増やしていく動きも現時点では完全ではないため、屈強なセンターバックとしてはまだ道中にあるが、それでもデュエルスタッツでは10代としては印象的な数字を残している。ベルギーA代表に招集されたこととアンデルレヒトの成績から評価が分かれる部分も少なからず見られるが、10月のズルテ・ワレヘム戦での敗北後に涙をするなど責任力と学ぶ姿勢はこれからさらに成長することを感じさせている。