ナタナエル・ムブク

選手紹介
名前ナタナエル・ムブク(Nathanaël Mbuku)
生年月日2002年3月16日
国籍/出身フランスヴィルヌーヴ=サン=ジョルジュ)
身長170cm
ポジションWG/AMF
所属スタッド・ランス

一流のマインドを持ったランスのワンダーボーイ

プレー動画          

経歴             

■2002-2017年(幼年期~FCフルーリー91)

コンゴ民主共和国(DRコンゴ)が家族のルーツである彼は、父が派遣社員で母がアニメータースクールに勤務する一般家庭にてイル=ド=フランス地域県のヴィルヌーヴ=サン=ジョルジュにて誕生した。彼には3人の兄がおり、最も年齢が近い三男とは喧嘩することも多かったが長男と次男からは可愛がられていたなど、誰にも人見知りしない外向的な末っ子気質の少年であったという。

テレビで見たサッカーに興味を持った彼は、父の耳を引っ張りながら「パパ、僕にフットボールをさせてよ!」とお願いすると、父は学校で良い成績を取ることを条件に承諾。当時5~6歳で乳歯が生え変わるような時期の出来事だった。最初に所属したチームは地元のFCCヴィルヌーヴであるが、彼のキャリアで異質なのは少年時代に過ごしたクラブの数であり、US D’アルフォールヴィル、UJAアルフォールヴィル、UJAマッカビPM、USリス=オランジス、USルシタノス・サン=モール、FCフルーリー91の計7クラブをスタッド・ランスに加入するまでの約9年間でプレーしていた。

まるでイル=ド=フランスを観光するかのように転々としているため多くの疑問が投げかけられているが、彼は「様々な場所を見たかった。フットボールをするということがどういうことなのか、自分を試したかった。」とその意図を語っている。父には送迎の部分も含めて苦労をかけたと回想しながら、最も手応えを感じたのは5番目に所属したUSルシタノス・サン=モールだったという。ここで3年間の在籍時に得られた自信が今につながっており、FCフルーリー91からスタッド・ランスに羽ばたくまでの礎となっている。

■2017-2021年(スタッド・ランス)

2017年7月に初めてのプロフェッショナルクラブであるスタッド・ランスと事前契約を交わしていたが、同時期にクレールフォンテーヌ国立研究所へのテストに参加しており、ティエリ・アンリやキリアン・エムバペも輩出した夢の育成機関の一員となっている。クレールフォンテーヌでのトレーニングはこれまでのサッカー観を覆すような別世界であり、戦術理解と技術の両方を高いレベルに成長できた有意義な経験であったという。その後、オリンピック・リヨンやSMカーンといったクラブも興味を持っていたが、クラブの利害関係に惑わされたくなかったことや、家族から近い場所という理由から誠実にスタッド・ランスとの正式な契約を交わしている。

16歳ながらU19やリザーブチームでもプレーしていたことから、2018年11月に最初のプロ契約を締結。プロ契約についても「それ自体が目的ではない」と自分に言い聞かせながら慢心することなく、紙切れにすぎない契約書ではなくピッチ上で価値を証明することに意気込んでいた。2019/20シーズンより念願のトップチームに昇格を果たすと、リーグ・アン(フランス1部)の開幕節となるオリンピック・マルセイユ戦にではトップデビューを飾っている。外向的な性格である彼は積極的にトップチームの選手とのコミニュケーションを行い、ロッカールームでの緊張感や今までユースで交わしてきたようなくだらないジョークもできない空気感ということを肌で感じ取り、すぐさまマインドをプロフェッショナルに切り替えたという。

初年度はカップ戦も含めると461分間(13試合)の出場機会を与えられているが、クープ・ドゥ・ラ・リーグ(国内カップ)のストラスブール戦で一発退場を経験するなど未熟な部分が顕になっていた。2020/21シーズンは最初の経験を活かしながらプレーしており、リーグ・アン第8節のモンペリエ戦では念願の初ゴールをバイシクルシュートにて決めるなど1得点1アシストを記録。スターティングメンバーとしてプレーする時間も増えており、結果的にリーグ戦では32試合に出場、4得点2アシストという上々な成績を残している。

代表歴            

15歳でフランスU16に招集されたことを皮切りに世代別代表でのプレーが始まると、フランスU17では充実した時間を過ごしている。飛び級で選出されるだけでなく、2019年のU17欧州選手権ではチームのベスト4に貢献。極めつけは2019年10月から開催されたU17ワールドカップであり、ベスト16のオーストラリアU17戦で圧巻のハットトリックを奪うと、準々決勝のスペインU17を相手には1得点1アシスト、準決勝のブラジルには敗れるも1得点を記録しており、シルバーブーツのアワードに輝いている。表彰式では憧れのロナウド氏と対面するなど夢見心地な瞬間となった。現在はフランスU20でのプレーとなっている。

移籍の噂           

スタッド・ランスとは2023年6月末までの契約を残しているが、2021年1月にはLOSCリーグ、パルマ、セルティックが彼の獲得に関心を持っていることが報じられた。移籍金としては800万ユーロ~が必要だともされているが、ポテンシャルを考えると安いだろう。ランスは2021/22シーズンもリーグ・アンで戦うことになるため、移籍については急ぐ必要はなさそうだ。

プレースタイル        

持ち前のスピードとテクニックを活かしたドリブルを武器とするウィンガーであり、プランに応じて両方の翼としてプレーすることが可能だ。また、シャドーストライカーとしての役割をこなすこともできる。1vs1の状況を好むようなチャレンジャーであるが、それが逆にボールを保持しすぎるという側面を招いているため、逆足の精度も含めて適切な判断力には改善が必要だろう。そんな彼を創り上げる要素として年齢には似つかわしくない冷静な性格だろう。普段は外向的な性格だが試合中は冷静にプロフェッショナルな意識を保っていることはこれまでのストーリーからも見えてくるはずだ。とあるインタビューでは「人は年齢について語りたがる。私にとっては年齢は単なる統計、到達できるための準備ができているのであれば関係ない。」と語るなど精神面は一流だ。

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