| 名前 | マルコス・マイタン(Marcos Maitán) |
|---|---|
| 生年月日 | 2008年4月18日 |
| 国籍/出身 | |
| 身長 | 195cm |
| ポジション | CB |
| 所属 |
常にリーダーであり続けるベネズエラの大器
プレー動画
経歴
■2008-2020年(幼年期~CCEセルバンテス)
ベネズエラ東部アナソアテギ州の都市エル・ティグレ。石油開発によって形成されたこの街で、マルコス・マイタンは育っている。特別なサッカー一家というわけではないが、父親が若い頃にフットサルをしていた影響で、4歳になる頃にはボールを蹴っていたという。そして5歳で加入した最初のクラブが『リベルタ・ソシアリスタFC』だった。
そこで過ごしたのは1年間のみだが、その翌年、6歳で所属することになるのが『セントロ・クルトゥラル・エスパニョール・セルバンテス』である。セルバンテスでの時間は、彼にとって明確に密度の高いものであり、12歳まで在籍中で市大会から全国規模の大会まで、レベルも雰囲気も異なる多くの舞台を経験している。アナソアテギ州大会では優勝を重ね、州代表として出場した全国大会でも頂点に立った。チームとして結果を残し続ける中で、彼は常に中心に近い位置でプレーしており、周囲からも一目置かれる存在になっていった。
周囲の少年らと比べても頭一つ分大きな身長であったこともあり、試合を重ねるごとに評価は自然と拡散。国内のトップクラブがその存在を把握するまでに時間はかからなかった。そうして声をかけてきたのが、『モナガスSC』であった。モナガスSCは、ベネズエラ国内最大級のスタジアムを擁する人気クラブであり、育成環境面に不安はなかったが、最大の問題は距離だった。エル・ティグレからクラブの拠点までは、車で片道4時間。家族の生活を考えれば、簡単に受け入れられる話ではない。それでも話し合いの中で、彼自身は「夢を追い続けたい」という言葉を語り、家族はその言葉を受け止め、悩んだ末に彼を送り出す決断を下している。
■2020-2025年(モナガス)
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Nuestro capitán #Sub15 Marcos Maitán, tuvo una excelente temporada en la @ligafutvejunior.
¡Marcó 1️⃣2️⃣ goles y defendió incansablemente la camiseta azulgrana!
❤️ Seguimos #ForjandoGuerreros ⚔️ #OrgulloAzulgrana pic.twitter.com/8LFhB2dwjK
— Academia Monagas SC (@LaAcademiaMSC) December 15, 2022
モナガスSC加入後、彼はU13カテゴリーからクラブでの生活をスタートさせている。環境が大きく変わった中でも適応は早く、年代を追うごとにクラブ内での立ち位置を確かなものにしていった。転機となったのが2022シーズンである。U15では絶対的なキャプテンとしてチームを牽引し、同シーズンの Liga FUTVE Junior(U15部門)では決勝のサモラ戦を含めて12得点を記録。結果としてモナガスU15に優勝タイトルをもたらし、個人としても強い印象を残すシーズンとなっている。
2023年に入ると、15歳ながらU16およびU17のカテゴリーに組み込まれ、年末にはトップチームのトレーニングにも参加。年代を越えた起用が続いたことは、クラブが将来を見据えて段階的に引き上げていたことを示しており、2024年11月にはカラボボFC戦でベネズエラ1部デビューも達成した。すでにプレーオフラウンド敗退が決まっていた状況ではあったが、16歳6ヶ月26日でのトップカテゴリーの公式戦という念願の舞台に立っている。
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続く2025年シーズンは、世代別代表での献身的なプレーが評価され、トップチームでも継続して出場機会を得るようになった。フル出場も珍しくなくなり、序列の中で確かな位置を築いていく。その流れの中で迎えた2025年9月のカラカスFC戦では、フリーキックの場面から得意とするヘディングでトップチーム初ゴールを記録。モナガスは比較的若い選手で構成されたチームではあるが、17歳の彼はその中でも異質で特別な存在感を放っている。
代表歴
ベネズエラU15代表として早い段階から国を代表する立場を経験している。1年遅れで開催された南米U15選手権2023にも出場したが、この初めての国際舞台ではグループステージ敗退に終わった。舞台をU17に移した後、2025年4月、彼は南米U17選手権2025で再び同世代のライバルと対峙することとなった。およそ2年前のU15選手権とは異なり、この大会で見せた姿は明確に変化していた。グループステージでは、ブラジル、ウルグアイ、エクアドル、ボリビアという厳しい組み合わせに入る。その中で、U15選手権で準優勝のエクアドルを破るなど、2勝1分1敗の成績でグループ2位通過を果たした。
Marcos Maitán para la alegría Vinotinto. 🫡@FVF_Oficial | #U17WC pic.twitter.com/AwNhLvOCT5
— Copa Mundial FIFA 🏆 (@fifaworldcup_es) November 7, 2025
準決勝のコロンビア戦では5失点を喫し、大敗という形で悔しさを味わうことになるが、そこで終わらなかった。3位決定戦のチリ戦では、U17ワールドカップ出場権を懸けた一戦の中で、彼がダメ押しとなるゴールを記録。ベネズエラを大会3位へと導き、チームとしての育成の成果を示す結果を残している。同年11月に行われたU17ワールドカップでは、イングランド、エジプト、ハイチと同組に振り分けられた。初戦のイングランド戦では3-0の完勝を収めるなど、2勝1分でグループ首位突破。国内外で期待が高まる中で大会を進めた。
しかし、決勝トーナメント初戦となるベスト32ラウンドの北朝鮮戦で敗れ、大会はここで幕を閉じている。それでも、ピッチ上でキャプテンを務めていたマイタンの評価は高く、この大会を通じて多くのスカウトの注目を集めるきっかけとなった。
移籍の噂
モナガスSCとの契約は2026年12月末までと言われており、18歳となった2026年夏の移籍市場より海外移籍が可能となる。U17ワールドカップ後にはドイツのバイエルン・ミュンヘンとRBライプツィヒが興味を持っていると報じられているが具体性はまだないだろう。エージェントはグローバルにスター選手をマネジメントしているWasserman社が務めているため、将来については確実な設計がもたらされることだろう。
プレースタイル
右CBを定位置とする彼は、幼少期からアドバンテージとなってきた195cmの体躯を活かした力強い守備を最大の特徴とする。モナガスSCがブロックを組み、カウンターを狙う守備的なスタイルを志向している点も相まって、彼は典型的な最終ラインの砦として相手の攻撃を跳ね返す役割を得意としている。一方で、ビルドアップ能力は平均的な水準にとどまり、ポゼッションを重視するスタイルには必ずしも適合しない可能性があるだろう。それでも、すでにベネズエラのトップカテゴリーにおいてゴール前での強固さを発揮しており、空中戦ではリーグ上位レベルの存在であることは疑いない。
本人がモデルとして挙げるのは、フィルジル・ファン・ダイクとセルヒオ・ラモス。彼らのポジショニングや試合展開を読む力を学ぼうとする姿勢は、自身の特性を踏まえた現実的な指向と言える。また、ベネズエラU17代表では、フランスでも活躍した同国屈指のCB、オスワルド・ビスカロンドの指導を受けてきた。豊富な経験を持つ指揮官の下で育成されてきた点も、彼の将来性を評価するうえで信頼に値する材料だろう。モナガスSCおよびベネズエラのユースカテゴリーにおいて、常にリーダーシップを発揮してきた彼が、将来的に世界的な存在へと成長する可能性は十分にある。