名前 | ケビン・ケルシー(Kevin Kelsy) |
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生年月日 | 2004年7月27日 |
国籍/出身 | ベネズエラ(バレンシア) |
身長 | 193cm |
ポジション | CF |
所属 | シャフタール・ドネツィク |
※ケヴィン・ケルシーとも表記されるだろう。
危険を承知でウクライナに挑戦しているベネズエラの怪童
プレー動画
経歴
■2004-2022年(幼年期~ミネロス・デ・グアヤナ)
ベネズエラ中北部のカラボボ州に属するバレンシア。19世紀初頭にはベネズエラの首都としても栄えていた産業都市にて彼は生まれ育ったとされている。2019年シーズンを終えるまでは地元のプロクラブである『カラボボFC』の下部組織に在籍しており、15歳でU17カテゴリでプレーしていた記録が残るなど、才能は大きなものであったことが伺える。
2020年シーズンはCOVID-19の影響でコンペティションの開催がままならなかったことから特段の活動には至っていないが、彼の姿はバレンシアから約800km離れたクラブである『ACCDミネロス・デ・グアヤナ』にあった。同クラブへの正式加入が発表されたのは2021年4月であったが、16歳の彼はトップチームの一員として数えられており、1ヶ月後の2021年5月にはリーガFUTVE(ベネズエラ1部)でのデビューを飾っている。
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夏ごろから出場機会が増え始めるも、初年度は8試合(177分間)で無得点の成績にて終了。このため国内トップレベルでのプレーに時間がかかると予想されていたが、2022年シーズンを迎えると開幕節からフル出場にてアピールを続けており、第7節のアカデミア・プエルト・カベヨ戦では右サイドからのクロスボールに合わせて初得点を奪うほどであった。その後もジョーカーとしての役割を期待されながら、シーズン終盤には1トップのスタメンを任されるなど、リーグ戦では23試合で5得点1アシストと17~18歳の少年としては十分な成績を残している。
■2023年(シャフタール・ドネツィク)
2022年のクリスマスにミネロスでの2年間に感謝しながら別れを告げており、新たな挑戦に進むことが決定。既に10月の時点でウルグアイの『CAボストン・リーベル』に加入することが水面下で決まっており、同クラブのオーナーでありロナルド・アラウホの代理人も務めるエドムンド・カブチ(レバノン系ベネズエラ人)のネットワークによる道が実現していた。2023年1月にボストン・リーベルに加入することが決まるも、数日後にはウクライナの『FCシャフタール・ドネツィク』に100万€で移籍するなど別の意図が感じられるような移籍劇となっている。
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— Kevin Kelsy (@kelsykevin19) May 28, 2023
当然ながら彼の家族を含めた周囲からは戦争状態にあるウクライナに移籍することを心配されていたが、彼自身も緊張と恐怖を感じながらもシャフタールという大きなクラブでプレーできることの喜びが勝ったことで加入を決断したという。シーズン途中での加入であったが、ブラジル人選手を始めとする多くの外国籍選手がFIFAの特例処置を活用してチームを離れていたこともあり、18歳の彼が出場できる環境は用意されていた。デビュー戦はUEFAヨーロッパリーグの決勝トーナメント2回戦となるスタッド・レンヌ(フランス)戦であり、延長後半途中での出場からPK戦までにもつれ込む試合展開にて、彼は決めればベスト16進出となる7人目のキッカーとして見事にPKを成功させるなど肝が据わった姿を見せている。
翌月の2023年3月には途中出場からFCクリヴバス戦にて移籍後初ゴールを挙げており、3日後にはUEFAヨーロッパリーグのベスト16ラウンド2ndレグとなるフェイエノールト(オランダ)戦で7点差の中から一矢報いる得点を記録。結果的にウクライナでの1年目を17試合(563分間)6得点1アシストと期待以上の成績を収め、チームのリーグ制覇にも少なからず貢献するなど来季でのさらなるブレイクに期待が集まっているところだ。
代表歴
2019年4月にベネズエラU15の事前キャンプに招集されており、U15南米選手権の本大会メンバーからは外れるも、2020年2月にはベネズエラU17に招集される評価を得ていた選手であった。COVID-19の影響もあり、本格的に世代別代表でプレーしているのは2022年10月以降のベネズエラU20となっているが、南アメリカ競技大会やU20南米選手権で多くの試合に出場している。2023年6月にはフェルナンド・バティスタが率いるベネズエラのフル代表に選出された。
移籍の噂
シャウタール・ドネツィクとは2027年6月末(5年契約とも記載されているため2028年6月末の可能性もあり)までの契約を残しているが、チャンスが舞い込むようであれば主要リーグへの挑戦も即座に実行されるだろう。危険を承知の上でウクライナに渡っているが、現状ではウクライナ情勢の先行きも不安定であるためベネズエラに住む家族を安心させたい気持ちも持っているはずだ。
代理人はベネズエラ、ウルグアイ、スペインを拠点とする「フットボール・グローバル・マネジメント」であり、スペイン語圏でのプレーは現実的なルートとなるだろう。Instagramではレアル・マドリードをフォローしているなど憧れを持っていることも推察できる。
プレースタイル
193cmの恵まれた体躯を武器とする本格派のセンターフォワード。大型でありながら足元の巧さを備えており、複数人を相手にも持ち前のテクニックを活かして打開するような個の強さを見せるほか、ボックス内では高い身体能力を活かした難しい体勢からでもシュートを合わせる可動領域の広さはズラタン・イブラヒモヴィッチを彷彿とさせる。彼をターゲットとしてボールを供給すれば何かを起こしてくれる、そんな期待を抱かせるような存在だ。