ユリエン・ティンバー

選手紹介
名前ユリエン・ティンバー(Jurrien Timber)
生年月日2001年6月17日
国籍/出身オランダユトレヒト)
身長179cm
ポジションCB/SB
所属アヤックス

双子での共演を夢見る、様々な可能性を秘めたアヤックスの逸材。

プレー動画

経歴

■2001-2014年(幼年期~フェイエノールト)

彼の父はカリブ海に位置するキュラソー、母のマリリンはアルバの出身であるなどルーツはオランダ王国を構成する島々に持っており、本国オランダのユトレヒトにて誕生した。2001年6月17日はティンバー家にとって二人の新たな生命が誕生した日であり、双子のクインテン・ティンバーも含めると、総勢5人兄弟という賑やかな家庭で育っている。ただ、父は家族を置いて単身キュラソーに引っ越しているため、実質的には母マリリンが5人の息子を一人で育てているため苦労は絶えなかっただろう(彼らが父親の姓であるマデューロではなく、母のティンバーとなっているのはそのためだ)。

最初にサッカーを始めたのはユトレヒトのDVSU(アマチュアクラブ)であり、本来であれば6歳から加入基準が設けられていたが、1歳上の兄ディランが先に入団していたこともあり、特例で双子のクインテンと共にわずか4歳で同クラブに加入。1年後には兄の所属カテゴリに組み込まれるとと、ティンバー兄弟で最終的には7~8歳カテゴリのチャンピオンに輝くなど5歳とは思えない存在でチームを牽引していたという。

時間があれば既にFCユトレヒトのアカデミーに所属していた兄クリスの試合を観に行っていた兄弟は、当然のように地元を代表するFCユトレヒトに入団することを考えていた。しかし、ティンバー家の噂を聞きつけたフェイエノールトが突如現れると、目的のFCユトレヒトに彼らの受け皿となるカテゴリが当時なかったこともあり、まだ6歳(2008年)ながらディラン、クインテン、ユリエンの3人揃ってフェイエノールトの下部組織に引き抜かれている。当時はフェイエノールトのほかにアヤックスに加入する選択肢もあったが、その際はユリエンとクインテンの2人のみであったことや母マリリンが運転免許証を持っていなかったこともあり、バスでの移動が可能であったフェイエノールトを選んでいる。

ユトレヒトから約50kmほど離れたロッテルダムでのプレーが始まると、かつて地元で一緒に過ごしていた友人らとは疎遠になる生活であったため、寂しさを紛らわすために兄ディランは常に2人の弟を近づけるような配慮を行っていたという。そんな兄は2年後の2010年に古巣のDVSUに戻っているが、双子の弟が環境に慣れるためには十分な時間であり、フェイエノールトでも才能を伸ばしていた。

フェイエノールトでは順調な成長を続けていたが、中学校に進学した2014年より彼らにはお金の問題が発生していた。前述の通り、地元のユトレヒトからロッテルダムまでバスで通っていたこともあり、中学校からクラブのトレーニング施設までの交通費が負担となっていたのだ。この経済難に対してフェイエノールトは解決策を提示しなかったことで、同世代では最高峰の才能であった二人を失うこととなっている。

■2014-2021年(アヤックス)

こうした問題を抱えていたティンバー兄弟に目をつけたのはアヤックスであり、デ・クラシケルのライバル関係にあるクラブへの禁断の移籍が実現。その出来事にインターネット上では批判に晒されるも、彼らの家庭事情を知らない人にとっては分からないような隠れた問題であった。今となればフェイエノールトに非があるような内容であることが明らかであるため、彼らがアヤックスに移籍したのは当然の選択と言えるだろう。

アヤックスでの最初の1年半は異なる環境でのプレーに難しさを感じていたが、徐々にヨハン・クライフの哲学に適応し、結果的には二人揃ってチームのリーダーとなっていた。2017年1月には兄弟揃ってアヤックスO17(17歳未満)でのデビューを果たすと、2016/17シーズンにおけるO17カテゴリの優勝に貢献。その後もO19(19歳未満)での活躍を経て、2018/19シーズンはヨング・アヤックスにて二人の姿が見られるようになっている。この頃から双子ということが話題を呼び、アヤックスないしオランダサッカー界のレジェンドであるデ・ブール兄弟に次ぐ存在になることが期待されている。

2019/20シーズンは二人ともヨング・アヤックスの主力としてエールステ・ディヴィジ(オランダ2部)を戦っており、順調にトップデビューに向けてのアピールが行われていた。この頃はマタイス・デ・リフトの引き抜きが盛んに報じられており、ポジションでの優位性もあったことでユリエンが先に2019年1月に行われたウィンターキャンプに招待されていたころで、キャンプを経た彼はクインテンを出し抜くほどに成長を進めていた。そして2020年3月のエールディヴィジ(オランダ1部)第26節のSCヘーレンフェーン戦にてトップデビューを飾っている。

現在の2020/21シーズンは開幕戦から出場機会を得ていたが、彼自身は重傷ではないもの度重なる負傷離脱で年内(2020年)は不完全燃焼であった。また、同時期にはクインテンも骨折をしている。しかし2021年から復帰を果たすとフル出場にて勝利に貢献する試合が続き、評価を上げている。ただし、2021年3月14日の試合からはコロナウイルスへの感染したことで再び離脱を強いられた(クインテンも感染している)。

代表歴

2015年11月からオランダU15に選出されると、2018年5月にはオランダU17としてU17欧州選手権を制覇。決勝戦となったイタリアU17戦で先制点を決めるなど彼の地位は絶対的なものであった。その後はオランダU19でもキャプテンマークを着用するなど、飛び級でのプレーに臆することないパフォーマンスで、2020年9月にはオランダU21でのデビューも飾っている。また、2021年3月のU21欧州選手権では本戦メンバーに選ばれるもコロナウイルスへの感染で登録は見送られた。

移籍の噂

彼は2024年6月末までの契約延長を交わしており、トップチームでのプレーも板についているため移籍は考えづらいだろう。彼らの夢は兄弟でアヤックスのトップチームで共演することであるが、クインテンはアヤックスとの契約が2021年夏までと更新しておらず、ドイツ・ブンデスリーガのクラブから関心を集めているためティンバー兄弟の夢の実現は難しくなっている。

プレースタイル

右利きのユリエンはセンターバックと右サイドバックを主戦場としており、双子のクインテンはセントラルミッドフィルダーのほかセンターバックやサイドバック、ウィンガーといったユーティリティ性を持っている。彼は179cmとセンターバックを務めるには不安が残る身長であるが、持ち前の身体能力(驚異的なスピードと体感の良い筋肉質な構造)と優れたポジショニングの感覚で屈強な相手でも渡り合えるような強さが武器だ。

また、ビルドアップからのパスセンスにも定評があり、これらのセンスで中盤でのプレーも可能であるなどクインテンと同じようなユーティリティ性も兼ね備えている。本来であれば恥ずかしがり屋な性格であるが、度々ゲームキャプテンを担うように試合中は積極的な姿勢を見せるなどリーダーの資質も魅力的だ。

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