ファシネ・コンテ

選手紹介
名前ファシネ・コンテ(Facinet Conte)
生年月日2005年3月24日
国籍/出身ギニアコナクリ)
身長175cm
ポジションCF
所属SCバスティア

複雑な過去を経て輝くギニアのシンデレラボーイ

プレー動画

経歴

■2005-2022年(幼年期~アカデミア・シアク・フット)

西アフリカの共和制国家であるギニア共和国に生まれた彼は、同国の首都コナクリにて多くの時間を過ごしているが、両親を幼い頃に亡くしている孤児であり、叔父に育てられた過去を持つ。悲しい出来事を幼くして経験しながらも救いとなっていたのがフットボールであり、8歳でイシアガ・バングラが創設した『アカデミア・シアク・フット』に所属しながら技術を高めると、運命を変えるきっかけとなったのがコナクリで開催されたスカウト向けの大会であった。

15歳で同大会に参加すると、その様子を視察していたエールフランス航空のモロッコ人パイロットであるアブデルマジド・ブアーナンの目に留まり、輝きを放っていた彼のキャリアをサポートしたいと説得。そこから間もなく養子縁組の手続きが行なわれ、新たな家族に歓迎されながら15歳でモロッコに移住する運びとなったのだ。モロッコではフットボールだけに集中できる環境を与えられながらトレーニングに励み、代理人グループの「プレミア・アート」がマラケシュで主催した大会ではヨーロッパの約12クラブが活躍を目撃したという。

そのなかの一つであるAJオセール(フランス)は、アカデミー・マネージャーであるフレッド・ザーゴが彼を含めた3選手の獲得に奔走するほどの熱量を持っていたが、入団に向けた最終交渉の段階でザーゴ自身がオセールを退団したことによって破断。そこからSCバスティアのスカウトを務めるピエール=ポール・アントネッティに紹介されると、彼を除く2選手は移籍が可能な年齢に達していたことからバスティアへの入団が実現しているが、未成年の彼はこのタイミングでの加入が許されることはなかった。

17歳となった半年後の2022年9月に再びフランスに訪れ、真っ先にバスティアのトライアルに参加していたものも、選択の幅を広げるようにレンヌ、LOSCリール、ル・アーヴル、パリFCでのチャレンジも行っており、いずれのクラブにおいても目を引くようなパフォーマンスを残していたという。ル・アーヴルはプロ契約オファーを提示するも、選手サイドの要求であった家族同伴という条件は合意に達することなく、交渉は破断。その後、将来性を考える上で再浮上したのがSCバスティアであり、同クラブの会長は彼における家族の重要性を最も理解してくれたことで、彼が望む最高の条件での契約を2022年10月に締結している。

■2023年(フラム・オリンピック~バスティア)

バスティアと契約するもFIFAの委員会による審査は厳しく、親善試合などでTOPチームの選手らとプレーしていたが、公式戦での出場は認められることはなかったという。このため2023年1月にはギニアに一時帰国し、シニアカテゴリでの試合経験を積めるようギニア1部リーグの『フラム・オリンピックFC』に参加。この母国ギニアでの6ヶ月間は彼にとって成長を加速させる良いきっかけになっており、これらの経験を経ながら公的に移籍が認められる18歳の年齢に達していた2023年6月、予定通りに『SCバスティア』との正式契約を締結した。

紆余曲折のキャリアであったが、2023年8月に行なわれたリーグ・ドゥ(フランス2部)第4節のESTACトロワ戦にて後半20分からの途中出場にてデビューを達成。1点ビハインドの展開での投入であったが、出場から5分後に左サイドからのクロスを滞空時間の長いヘディングにてゴールに叩き込み初ゴールを記録すると、後半34分にはこの日の決勝弾となる劇的な逆転ゴールまで奪っており、デビュー戦で2ゴールという最高の成績にて鮮烈なインパクトを残すことに成功した。

この得点で指揮官のレジ・ブルアールやファンの心を掴んだことでスーパーサブ的なチャンスを得るようになると、第19節の消化時点でリーグ・ドゥでは12試合で5ゴール、クープ・ドゥ・フランス(カップ戦)でも1回戦敗退を喫したが1アシストを記録するなど市場価値を高めているところだ。

代表歴

 

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2023年のクリスマスイブにて、アフリカネイションズカップ2023に臨むギニア代表の本大会メンバーに招集されており、1月8日の親善試合(ナイジェリア戦)にてフル代表デビューを達成。デビュー戦でいきなり得点を奪うなど、同大会でブレイクすることが期待されており、グループラウンドの対戦国はセネガル、カメルーン、ガンビアと手強いため、こうした国を相手に活躍できれば市場価値はさらに向上することだろう。

移籍の噂

彼がSCバスティアに加入した際の契約年数はわずか1年契約であり、現行の契約は2024年6月末までとなっている。ただし、2年間の延長オプションが付与されているためバスティアが行使する可能性もあるだろう。現時点でフランス国内ではナント、国外ではドイツ、イングランド、オーストリアのクラブが関心を持っていると報じられており、バスティアは今季での昇格は見込みづらい状況にあるため、早い段階で新たなステップアップを決断する可能性も高い。

プレースタイル

センターフォワードを主戦場としており、175cmと小柄ながら1トップをバスティアで任されることもある。身長が高くもなければ線も細いなど肉弾戦の弱さは否めないものも、それを補うようにしてアフリカ人らしさのあるSAQ(スピード・アジリティ・クイックネス)とバネを持ったプレーにて強みを持っているタイプだ。

また、相手DFとの駆け引きの上手さが際立ち、一瞬の隙を縫って背後を取る動きやボックス内で気づけば相手よりも身体を先に出して得点を奪うなど、身体能力+ゴールへの嗅覚が彼の武器となっている。その他、ボールを持っている状態でもトップスピードを維持しながら相手を置き去りにするドリブルや、左右両方で最もゴールに近いシュートの選択ができる判断力、相手の雑なバックパスを逃さない最前線の狩人としてボールを奪取するセンスなども魅力的だろう。

彼について補足したい点として、バスティアというチームにおける退場者の多さも言及する必要があり、彼が出場している試合のいくつかは誰かが退場している試合展開であるなど人数のハンデがあるなかで結果を残していることも評価すべきだろう。起用方法についてはオープンな展開となった際の起爆剤となるジョーカーのような役割が彼に合っているとも考えられる。

小ネタ

Instagramではレアル・マドリードの公式アカウントをフォローしているほか、所属選手もフォローしているなど憧れがあることが推察される。

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