エネス・サリ

選手紹介
名前エネス・サリ(Enes Sali)
生年月日2006年2月23日
国籍/出身ルーマニアトロント)
身長168cm
ポジションAMF/WG
所属FCファルル・コンスタンツァ

15歳でフル代表に招集されたゲオルゲ・ハジの秘蔵っ子

プレー動画          

経歴             

■2006-2018年(幼年期~FCバルセロナ)

16歳~17歳でのトップデビューが珍しくないルーマニアにておいて、特別な才能が誕生している。彼の名前はエネス・ハジ。カナダおよび北米屈指の世界都市として知られるトロントにて生を受けた少年だ。出身地がカナダであるのには家族のバックグラウンドが関係しており、父親のエンギ・サリはコンスタンツァ(ルーマニア)出身のトルコ人で、母親は祖父母にあたる世代からカナダに定住しているトルコ人であるなど、血筋は共にトルコ人となっている。そのため、彼の名前(Enes:エネス)もトルコ系だ。

そんなカナダで育っている彼は、外で一日中をサッカーをするような子どもであったが、冬の極寒では外で遊べないことを考慮して、隣町のウッドブリッジ・ストライカーズにてキャリアをスタート。当時からボールの扱いは卓越しており、7歳当時の映像が父のYouTubeにて投稿されているため確認できるだろう。

映像からも分かるようなボールタッチは大人たちを騒ぎ立て、実際に2014年にはFCバルセロナが世界中で開催している「バルセロナ・キャンプ」において発見されており、そこからバルセロナとのコンタクトが始まっていた。育成拠点のシウタ・エスポルティバ・ジョアン・ガンペールに招待され、そこで自身のパフォーマンスを最大限に発揮して合格すると、2017年よりラ・マシア(下部組織)に入団。しかし、彼がカナダ国籍であり未成年という立場からFIFAの規定に接触したことで、わずか2シーズンにて退団を強いられている。

■2018-2021年(アカデミア・ハジ~FCファルル)

FCバルセロナからの退団後、彼の姿はカナダにあった。次の所属先を検討する上で、12歳の頃にゲオルゲ・ハジが創設したFCヴィトルル・コンスタンツァの練習に参加していたことや、父親の友人が「ハジに任せておけば大丈夫」と助言したことで、半信半疑でビデオを送付。その映像を気に入ってくれたことで、家族全員がカナダを離れて父の故郷であるコンスタンツァでの生活が始まっている。

ヴィトルル・コンスタンツァの育成組織として位置づけられていたアカデミア・ハジ(ゲオルゲ・ハジ・フットボール・アカデミー)に加入すると、そこでU17カテゴリでの優勝に貢献。2021年にそのヴィトルル・コンスタンツァがファルル・コンスタンツァと合併したことで、FCVファルル・コンスタンツァの所属になると、2021年夏にはトルコのアンタルヤでの休暇予定だったところを指揮官のゲオルゲ・ハジによってトレーニングキャンプに招集されている。

2021年8月に開催されたリーガ1(ルーマニア1部)第4節のシェプシOSKスフントゥ・ゲオルゲとの試合にてトップデビューを飾ると、確認できる限りのデータとしてはリーグ史上4番目の若さでのデビューであった。1ヶ月後の第8節となるFCアカデミカ・クリンチェニ戦では後半39分に左サイドから個人技でエリア内に侵入すると、複数人に囲まれながらもゴールを記録。15歳6ヶ月21日での得点はリーグ史上最年少であるなど記録に残る才能となった。ちなみに父はゴールシーンに立ち会った際、彼がチームメイトにパスをせずにドリブルしたことに動揺していたそうだが、その後ゴールが決まった時には嬉しさのあまりに泣いたという。

代表歴            

COVID-19の影響から明けたことで、15歳ながら飛び級にてルーマニアU16~U17の試合に出場。U17欧州選手権では得点を挙げるなど活躍していたが、ここで思わぬサプライズが彼に訪れている。それがルーマニアのフル代表へのサプライズ招集だ。2021年11月に2022年のFIFAワールドカップ予選に向けた26名に名を連ね、2006年生まれとしては類を見ない事例となったことで世界中に話題を提供した。カナダとトルコを代表選択できないようにフル代表での公式戦に出場させたい意図もあるだろう。

移籍の噂           

ファルル・コンスタンツァとは2025年6月末までの長期契約に署名したばかりであるが、彼自身としては大きな舞台に挑戦したいという明確な意思表示は行われている。5年後、10年後の自分が高いレベルでプレーしていると思うと語り、チャンピオンズリーグとルーマニア代表での優勝、個人タイトルとしてゴールデンボール(最優秀選手賞)を得たいという目標を掲げている。

彼のアイドルはリオネル・メッシとモハメド・サラーであり、FCバルセロナに関しては幼少期からユニフォームを着用するほど憧れは持っているだろう。一度、スペインから離れているのも彼にとっては不完全燃焼となっている。そんな彼は様々なバックグラウンドを持っていることもあり、英語、トルコ語、スペイン語、カタルーニャ語、ルーマニア語を英語のアクセントで話せるように語学力も堪能だ。

プレースタイル        

幼少期からの映像に残っているように、卓越したボールコントロールと創造性を彼は持っている。ドリブルに関しては怖いもの知らずのように前へ前へと仕掛け、持ち前のボールを持った際の加速力によって置き去りにするなど、とにかく独力で相手ディフェンスラインの驚異となることができる起爆剤だ。168cmと身長面での優位性はなく、トップチームでも数試合程度の出場時間であるため、現時点ではまだまだ周囲からのサポートが必要だろう。主戦場はトップ下であるが、ウィンガーとしての起用法が最もリスクを少なくできるはずだ。

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