ケルケズ・ミロシュ

選手紹介
名前ケルケズ・ミロシュ(Kerkez Milos)
生年月日2003年11月7日
国籍/出身ハンガリーヴルバス)
身長180cm
ポジションLSB
所属AZアルクマール

19歳にして5ヶ国でのプレー経験を持つハンガリーのファイター

プレー動画

経歴

■2003-2019年(幼年期~ラピド・ウィーン)

セルビア(旧セルビア・モンテネグロ)ヴォイヴォディナ自治州に属するヴルバスに生まれ育った彼だが、父親のセバスティヤンはハンガリー人であるなど、隣国ハンガリーにもルーツを持っている。3歳上の兄マルコもセルビア2部でプレー経験のある選手であり、幼少期はそんな兄と裏庭で何時間もボールを蹴っていたという。セルビアでは11歳となる頃まで過ごしており、FKハイドゥク・クラやOFKヴルバスに所属していたとされているが、2014年よりオーストリアへと移り住むことが決定した。

オーストリアでは持ち前の才能によって名門『SKラピード・ウイーン』の下部組織へと入団。当時はセントラルミッドフィルダーを主戦場としており、11歳ながらU13カテゴリで結果を残すなど飛び級での出場が常であった。2016/17シーズン(12~13歳)ではU14、翌年にはU15まで昇格していたが、約5年後の2019年春に次なる拠点をルーツのあるハンガリーに移している。オーストリアでの通算成績は77試合24得点であった。

■2019-2021年(ジェール~ACミラン)

ハンガリーでは『ホードメゼーバーシャールヘイFC』に所属するも短期間で兄が所属していた『ETO FCジェール』の下部組織に移籍。すると、1年目ながらトップチームに帯同する機会を与えられており、16歳となった2019年12月にはNBⅡ.(ハンガリー2部)でベンチ入りを果たしている。新たなシーズンを前にクラブとのプロ契約を締結し、2020年8月のドロギFC戦にてトップデビューを飾ると、その後のリーグ戦では弱冠16~17歳の彼がスターティングメンバーに名を連ねるようになっていた。本来は中盤のポジションながらもジェールのトップチームでは左ウィングバックで試されたことが機会を創出しており、ここで彼自身も手応えを感じたことで自分の適性ポジションがフルバックであることに気づいたそうだ。

 

この投稿をInstagramで見る

 

ETO FC Győr(@etofc_official)がシェアした投稿

こうしたハンガリー2部で輝いていた彼には様々なクラブがスカウトを送り込んでいたが、彼自身はハンガリーでよりフィジカル的な成長をしたいと移籍のタイミングを夏で考えていたが、2021年冬の移籍市場がクローズする2日前にかかってきた電話によりすべてが覆っている。『ACミラン』のレジェンド、パオロ・マルディーニからの電話だ。直接言葉を交わしながら会って話がしたいと勧誘されたことで、トントン拍子にイタリアでの挑戦が決定した。

世界最高の左サイドバックであるパオロ・マルディーニの評価としては彼がトップチームの選手であることを主張しており、テオ・エルナンデスのバックアッパーとしてすぐにでも選択肢に入ることを考えていたが、結果的にはトップチームのトレーニングに帯同するも主戦場はプリマヴェーラ(U19)であった。数ヶ月前までテレビで観ていたスター選手に感動しながら、そこに加われるようプリマヴェーラで積極的なアピールを続けており、半年後の2021年夏には新たなシーズンに向けたキャンプに招集。TRMではプロ・セスト1913(イタリア3部)を相手に2分間で2ゴールを奪う活躍も残している。

彼自身も手応えを感じ、念願のトップ昇格も夢ではないと思っていたがミランが選択したのは即戦力となるフォデ・バロ=トゥーレの獲得であった。そのため彼はプリマヴェーラに戻されることになり、この出来事を機にトップカテゴリでプレーすることが最も重要であると決断しながら次のチャレンジを検討。ミランとしては期限付き移籍を想定していたが、彼の代理人らはキャリアの成功を第一に完全移籍でプレーすることに拘っており、ドイツ方面からのオファーを受け取りながらも選択したのがオランダの『AZアルクマール』となっている。2022年1月の出来事であった。

■2022-2023年(AZアルクマール)

AZを選択した理由は若手の起用を積極的に行っていることにあり、こうしたビジョンに惹かれるようにして加入。加入直後の2022年2月に行われたKNVBベッカー(カップ)準々決勝のRKCワールウェイク戦で移籍後初出場を果たしているが、シーズン途中であるため当面はエールステ・ディヴィジ(オランダ2部)に属するセカンドチームを主戦場としている。それでもシーズン終盤のUEFAヨーロッパカンファレンスリーグへの出場権をかけたプレーオフでは全4試合でスタメン出場を飾りながら、ヘーレンフェーン、フィテッセを下しての出場権獲得に貢献した。ここでの評価が来季に繋がる大きなターニングポイントでもあったという。

2022/23シーズンに入るとレフトバックで定位置を確保しており、開幕戦から躍動。キャリアを通して初めてのトップカテゴリでの挑戦ながら、エールディヴィジ(オランダ1部)では累積警告を除いた全試合に出場するだけでなく、UEFAヨーロッパカンファレンスリーグでも活躍するなど評価を高めているところだ。2023年4月現在の成績は46試合とフル稼働しながら5得点8アシストを記録している。

代表歴

生まれのセルビアを選択することも当然可能であったが、彼が選択したのは父親のルーツであるハンガリーであった。セルビアは彼自身ではなく誰かを介してのアプローチなのに対し、ハンガリーは直接的にコンタクトを取るなど熱意が通じた結果となっている。2020年2月に16歳ながらハンガリーU17でのデビューを果たし、翌年には飛び級にてU21に出場。それだけに留まらず、今季の活躍から2022年9月には18歳でハンガリーのフル代表デビューを飾るなど、大きな期待が集まっている存在だ。

移籍の噂

AZアルクマールとは2026年6月末までの契約を残しているが、ラツィオ(イタリア)やリーズ・ユナイテッド(イングランド)、ベンフィカ(ポルトガル)といったクラブが獲得に関心を持っていることが報じられている。特にベンフィカはアレハンドロ・グリマルドの退団に備えて本腰を入れており、父親のセバスティヤンを実際にリスボンに招待するなどアクティブな動きを見せている。

過去のインタビューでは5大リーグでプレーすることが夢であると公言しており、スペイン、イングランド、イタリアの順番で好きなリーグであることを語っている。これまでの歩みから決断を行うことに消極的ではないため、AZよりもさらなるステップアップの機会があれば移籍には前向きに応じることだろう。

プレースタイル

試合を通してハードワークをいとわずタフに闘うことができるサイドバックであり、180cmの身長と均整の取れたウエイトでフィジカルコンタクトにも定評のある守備に安心感を与えてくれるタフガイだ。攻撃参加時には非凡なテクニックと持ち前のフィジカルを活かした推進力でサイドを駆け上がり、そこから繰り出される美しい軌道のクロスでチャンスを演出するなど常に計算できるサイドバックとしてチームを選ばない活躍が期待できるだろう。

ロールモデルとしているのはミランで間近で観察していたテオ・エルナンデスのほか、アルフォンソ・デイビス、ジョルディ・アルバといった最高峰の選手らを参考に勉強を続けているという。パオロ・マルディーニの彗眼に偽りのないクオリティを持った選手であることは間違いない。

タイトルとURLをコピーしました