名前 | ステファン・バイチェティッチ(Stefan Bajcetic) |
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生年月日 | 2004年10月22日 |
国籍/出身 | スペイン/セルビア(ビーゴ) |
身長 | 185cm |
ポジション | DMF/CB |
所属 | リヴァプールFC |
コンバートで急激な成長速度を見せるビーゴの至宝
プレー動画
経歴
■2004-2020年(幼年期~セルタ)
父親のスルジャン・バイチェティッチはキャリア晩年を中国リーグでプレーしていた元プロサッカー選手であり、1990年代前半に勃発したユーゴスラビア紛争の影響から逃れるためにセルタ・デ・ビーゴ(スペイン)に加入すると、そこでビーゴ出身のスペイン人女性と結婚したことでヨヴァン(2000年生)とステファン・バイチェティッチ(2004年生)の2人が誕生した。兄ヨヴァンはユースの時点でプロではなく機械工学への道を選択しており、今はアマチュアクラブでプレーしているという。
父スルジャンは引退後に妻の出身地であるビーゴに定住しており、ビジネスマンとして働きながら指導者職にも就いていたことから彼も地元を代表する『RCセルタ・デ・ビーゴ』のカンテラ(下部組織)にて多くの時間を過ごしていた。セルタでは父譲りの身体的な特徴からセンターバックとして高く評価されており、順調に昇格を重ねながら2020/21シーズンには16歳ながらフベニル(U18~U19)に到達。COVID-19の影響もありフベニルでの出場試合は数試合に留まっているが、ガリシア州のU14/U16代表にも選ばれるなど有数の存在へと成長している。
Hoxe, xoves 22 de outubro, cumpre 1️⃣6️⃣ anos Stefan Bajcetic, central do Xuvenil B
Parabéns, Stefan! 🎉 pic.twitter.com/Udn72JQIc9
— Canteira Celeste (@CanteiraCeleste) October 22, 2020
そんなセルタで有望な才能を示していた彼にはスペイン国内のほか、リヴァプールFCやマンチェスター・ユナイテッド、RBライプツィヒといった国外クラブからも関心を持たれており、才能を射止めるための争奪戦が繰り広げられていたという。いくつかの選択肢が開かれていたが、最終的には一番初めにアプローチをかけていた『リヴァプールFC』への挑戦を選択。2021年1月1日からブレグジット(イギリスのEU離脱)の影響で18歳未満の選手に対する獲得規制が適応されることもあり、契約は2020年12月末に締結された。
■2021-2023年(リヴァプール)
16歳でリヴァプールに加入後、U18カテゴリに組み込まれているがシーズン途中ということもあり、FAユースカップ(U18)の決勝戦でベンチに控えるも出場はリーグ戦の4試合のみであった。シーズン前から準備を行うことができた2021/22シーズンは開幕からリヴァプールU18の中心となっており、U18プレミアリーグ(U18リーグ)第2節のマンチェスター・ユナイテッド戦で披露した最終ラインからの80m独走は大きな話題にもなっていた。
Liverpool’s u18’s won 5-0 against Man United yesterday. Check out this run from centre-back Stefan Bajcetic. 🔥 pic.twitter.com/UxqF8QwXGp
— Watch LFC (@Watch_LFC) August 22, 2021
この話題となったプレーにも示されているように、アカデミー・マネージャーを務めるアレックス・イングルソープ氏は彼がもう一列前でプレーすることでの興味を持っていたという。この考えに加え、父スルジャンは息子が将来的に自身もプレーしていた中盤の選手になることを予測していたこともあり、シーズン途中で守備的なミッドフィールダーへのコンバートが実行。ちょうど17歳になったタイミングで異なるポジションへの挑戦が始まっているが、周囲の見立て通りに短期間で適応すると、1ヶ月後の2021年11月には最初のプロ契約を締結するまでに評価を得ていた。ここまで順調な成長曲線を見せていたが、2022年1月末に背中の負傷で残りのシーズンを棒に振るなど激動の2021/22シーズンを不完全な形で終えている。
数ヶ月の負傷から復帰した2022/23シーズンでは、復帰直後ながらプレシーズンをユルゲン・クロップが率いるトップチームで過ごすチャンスが到来。このプレシーズンでのチャンスを活かしたことでクロップからの高い評価を得ると、プレミアリーグ(イングランド1部)開幕節にはベンチ入りを果たし、第4節のボーンマス戦では7-0で大量リードしていた展開からのトップデビューを達成した。
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当初はリヴァプールU21で経験を重ねていくと想定されていたが、トップチームの事情もありワールドカップによる中断期間後には多くの出場機会が開かれると、再開後のリーグ初戦となるアストン・ヴィラ戦では初ゴールも決めて見せている。現在は未勝利が続いているチーム状況において、新たな風を吹き込む期待が込められるなどキャリアのターニングポイントに置かれているところだ。
代表歴
生まれのスペインと父親の出身であるセルビアの両方から代表選択できる環境にあるが、セルタの所属時にガリシア州選抜、リヴァプールへの移籍後にスペインU18に招集されるなど現時点ではスペインの世代別代表としてプレーしている。この代表選択について、父スルジャンは21歳までに決める必要があると以前のインタビューで答えているが、今のキャリアスピードを考慮するとその選択も早期に行う必要が出てくるのではないか。
移籍の噂
2022/23シーズンでの活躍からリヴァプールは2023年1月に契約延長を行なっており、新たな契約として2027年6月末までに署名している。そのため移籍については考えづらい状況にあるが、クラブが即戦力クラスの中盤を新規獲得することにより新たな競争環境に置かれることも予想されるたが今が正念場だろう。
ステファン・バイチェティッチ選手が、レッズとの長期の契約延長にサイン!✍️🔴 pic.twitter.com/RrYYMUs34f
— LFC Japan (@LFCJapan) January 26, 2023
プレースタイル
前述の通りセンターバックから守備的なミッドフィールダーおよびアンカーの才能へと成長しており、185cmの恵まれたポテンシャルを武器に中盤で躍動する。センターバックでも垣間見えていた推進力は中盤でより発揮され、相手のベクトルを逆手に取って剥がすスキルや冷静沈着な判断によるボールロストの少なさは強みとなっている。また、センターバックで培われた守備力は当然ながら中盤でも昇華され、アグレッシブにボールを回収できるほか、スペイン育ちであることを証明する技術力の高さや非凡なパス能力など高い完成度を誇る。
小ネタ
リヴァプールの同僚であるチアゴ・アルカンタラとは、父親同士がかつてセルタ・デ・ビーゴで1996/97シーズンに同じく同僚であった共通点がある(マジーニョとスルジャン・バイチェティッチ)。父親の出身地であるセルビアには毎年訪れているそうだ。また、リヴァプールでは「~ッチ(ić)」が付く選手が活躍できていないというジンクスが密かに囁かれており、これらを覆すことにも期待されている(ヨヴァノヴィッチ、マルコヴィッチ、グルイッチなど)。