名前 | サムソン・バイドゥ(Samson Baidoo) |
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生年月日 | 2004年3月31日 |
国籍/出身 | オーストリア(グラーツ) |
身長 | 190cm |
ポジション | CB |
所属 | FCレッドブル・ザルツブルク |
Samsonはザムゾン、Baidooはベイドゥとも表記される
類まれな守備センスを持つレッドブルグループが誇る大器
プレー動画
経歴
■2004-2018年(幼年期~グラーツァーAK)
ガーナ人の両親を持つ彼は、オーストリア共和国における主要都市として数えられているグラーツにて生まれ育っている。最初に所属したのは地元の総合型地域スポーツクラブである『ポストSVグラーツ』であり、8歳になる直前からプレーしながら1年後には古豪として知られる『グラーツァーAK』の下部組織に加入。当時のグラーツァーは経営難による解散と再建でオーストリア8部からのスタートを切ったばかりであったが、アカデミー生の保護者らが経営破綻を見越して子どもがプレーできる基盤を構築していたなど特に大きな支障をきたすことはなかったと考えられる。
オーストリアサッカー協会(ÖFB)が蓄積している統計データでは、彼が9歳~10歳の年齢で既にU11~U12カテゴリに出場しており、その後のキャリアでも上のカテゴリに混じりながらのプレーであったことが伺える。グラーツァーでは多くの時間をセンターフォワードを主戦場としており、周囲と比べて身長が高く、身体能力を活かした強くて速いストライカーとして評価されていたという。U11~U13では最終的に117試合35得点の成績を残しているが、レッドブル・ザルツブルクのスカウトはこうした身体特徴がセンターバックで成長するために最適だと助言しながら、グラーツァーでの晩年は異なるポジションで出場していたそうだ。
■2018-2023年(リーフェリング~ザルツブルク)
2018年2月よりFCレッドブル・ザルツブルクと提携関係にある『FCリーフェリング』に加入し、シーズン途中加入の2017/18シーズンは14歳ながらU16カテゴリに組み込まれてのプレーであった。これまでは父親が送迎を行い、母親が毎日食事を用意していた環境であったことから、最初はホームシックに悩まされるも時間が経つに連れて自立心を養いながらの成長を実現。翌2018/19シーズンはレッドブル・アカデミーU15を主戦場とし、センターバックとしてU15リーグの優勝に貢献するなど、これまでとは異なる常勝軍団としての誇りと責任を胸にチームを牽引している。
負傷からの復帰とCOVID-19からの再開後にはレッドブル・アカデミーU18へと昇格し、ここでも主力としてU18リーグ優勝に貢献したことで、2021/22シーズンよりレネー・アウフハイザーが率いるFCリーフェリング(セカンドチーム)に昇格。当初はCBの3番手としてベンチを温めることが想定されながらも、負傷離脱の多いブライアン・オコーに代わって出場機会を重ねており、2.リーガ(オーストリア2部)ではシニア初年度ながら25試合(1799分)に出場した。また、UEFAユースリーグ(U19)でもチームを決勝に導き、惜しくも優勝は逃したが評価を高めるのには十分な活躍を残している。
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2022年4月には、FCリーフェリングから2022/23シーズンに向けた補強として『FCレッドブル・ザルツブルク』に移籍(昇格)し、プレシーズンからTOPチームでの生活がスタート。とはいえ、いきなりオーストリア・ブンデスリーガ(オーストリア1部)でのプレータイムは得られておらず、2022年10月のTSVハルトベルク戦でリーグデビューを飾るも基本的には2.リーガを主戦場とすることに変化は起きていない状況であった。それでもシーズン終盤にストラヒニャ・パヴロヴィッチが不在であったLASKとの上位対決でチャンスを得ており、開始直後に不用意なミスで心配されるも、その後は安定した堅実な姿で勝利に貢献するなど来季に向けてのアピールに成功した。
2023/24シーズンでもパヴロヴィッチとウマル・ソレを最初の選択として考えられていたが、ソレの負傷離脱の際にも問題なくバックアッパーとしての役割を遂行しており、2023年8月のヴォルフスベルガーAC戦では初ゴールを記録。現在ではオーストリア・ブンデスリーガでも屈指のセンターバックとして評価されながら次なるステップアップに向けて躍動しているところだ。
代表歴
ガーナ代表を選択できる権利を持ちながらも、ユース年代から常に生まれ故郷のオーストリアを彼は選択している。2019年2月より14歳でオーストリアU15でのデビューを飾ると、そのまま指揮官であるヘルマン・シュタッドラーとU19代表まで通過するなど常連選手として定着。2022年11月には18歳でオーストリアU21まで上り詰め、2023年10月にはレッドブル・ザルツブルクでのブレイクからラルフ・ラングニックよりフル代表へ招集を受けると、UEFAユーロ2024年予選のベルギー戦にてフル代表デビューを飾っている。
移籍の噂
レッドブル・ザルツブルクとは2022年4月の契約時に締結した2027年6月末までの契約を残している。移籍に関しては同じくレッドブル・グループのRBライプツィヒ(ドイツ)へのステップアップが第一候補として考えられるも、FCバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に直接移籍する可能性も報じられている状況だ。これには彼自身が子どもの頃からバイエルンのファンであることを公言していることにあるほか、レッドブル・ザルツブルクで17年間に渡ってマネージャーとして育成に携わったクリストフ・フロイントがバイエルンのSD(スポーツ・ディレクター)に就任にしたことによる関連性が理由となるなど、実現するのに驚きが無いような材料が揃っている。
プレースタイル
右利きのセンターバックである彼は、自身のプレースタイルへの共通点からアントニオ・リュディガーをロールモデルとしているほか、フィルジル・ファン・ダイクとカリドゥ・クリバリ、ザルツブルクのサポーターから類似性を感じさせると話題になったダヨ・ウパメカノも参考としている逸材だ。ピッチ全体を俯瞰的に捉えながら冷静に物事を処理することを得意としており、高いカバーリング能力と190cmの長いリーチを活かした奪取力で危険な芽を潰しながら、そのままカウンターの起点となれるなどデュエルを恐れないアグレッシブかつ安定的な守備が持ち味となっている。
また、こうした俯瞰的なビジョンの広さはビルドアップでも活かされ、ボールを推進させながら右足から放たれる高い品質のフィードにて局面を変えるほか、クリアリングも安直な処理ではなく相手の重心が前のめりになったところに空いた裏のスペースに対してクリアを行うなどそのパスセンスも魅力だ。また、リーダーとしての資質も備えているほか、アカデミー時代にストライカーとしてプレーしていた感覚が得点能力として受け継がれているなど攻撃への参加意欲も高い。現在のプロフィール上では190cmの身長に対して体重が76kgとなり、よりトップレベルでプレーするためには筋肉量を増やしていくことが必要だろう。
小ネタ
愛称はSamsonをもじった「サミー(Sammy)」であり、性格は物静かなタイプで私生活も落ち着いた行動を取っている。4人の姉妹+彼という家族構成で、父親はチェルシー(イングランド)が好きなクラブだそうだ。