名前 | ヴィクトル・ジュカノヴィッチ(Viktor Djukanovic) |
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生年月日 | 2004年1月29日 |
国籍/出身 | モンテネグロ(ニクシッチ) |
身長 | 184cm |
ポジション | WG |
所属 | ハンマルビーIF |
※Viktorはビクトル、Djukanovicはジュカノビッチ、ジュカノヴィチとも表記される
圧巻の突破力を誇るモンテネグロの翼
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経歴
■2004-2022年(幼年期~ブドゥチノスト)
旧ユーゴスラビアの事実上の最後であり、2006年まで存在していたセルビア・モンテネグロ国家連合のニクシッチ(現在はモンテネグロ)に彼は誕生している。詳細な幼少期については不透明であるが、ミルコ・ヴチニッチを輩出したことでも知られる地元の名門『FKスティエスカ・ニクシッチ』にて多くの時間を過ごしており、2016年(12歳)当時には個人タイトルを得ているなど才能は際立っていた。
同クラブでは2019年まで所属しているが、15歳になったタイミングで新天地として選択したのがモンテネグロ・ダービーとして最大のライバル関係にある『FKブドゥチノスト・ポドゴリツァ』であった。移籍から約1年が経過した2020年11月、メリディアンベット1.CFL(モンテネグロ1部)のルダル・プリェヴリャ戦にて16歳でのTOPデビューを飾っており、後半17分からの出場でありながら勝利を決定づける4点目を挙げるなどデビュー戦での初ゴールを達成。この得点記録は当時のクラブ史上では2番目、リーグ全体でも5番目の若さでの記録としていきなり周囲を驚かせている。
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鮮烈なデビューによってムラデン・ミリンコヴィッチが率いるTOPチームへの定着を実現させ、首位をひた走る競争の激しい環境下でも出場機会を手にするだけでなく、1年目ながらリーグ戦では20試合(705分)で2得点を記録。さらにはモンテネグロ1部とモンテネグロ・カップの2冠までを経験するなど国内で手にすることが出来るタイトルを17歳にして彼は経験していた。3連覇への期待が高まっていた翌2021/22シーズンでは主力級へと序列を上げながら目に見える結果を残しており、昨季を上回る31試合(1628分)9得点・4アシストの成績にてシーズン終了後にはモンテネグロの年間最優秀若手選手賞にも選出された。
続く2022/23シーズンではブドゥチノストにて半期を過ごした後、2022年12月7日の出場を最後にスウェーデンの『ハンマルビーIF』に移籍することが発表。2023年1月よりモンテネグロではない最初の海外挑戦をスタートさせている。
■2023年(ハンマルビー)
欧州主要リーグと比べると金額は見劣りするも、ハンマルビーへの移籍時に発生した100万ユーロの移籍金はモンテネグロリーグから直接移籍をした選手における歴代最高金額であり、ハンマルビーとしても限られた予算のなかで獲得しているなど彼への期待値は高いものであった。こうした期待に応える必要がありながら、アルスヴェンスカン(スウェーデン1部)で採用されている春秋制が彼の適応を後押しするような準備期間としてプラスに働いており、モンテネグロでの疲労を蓄積することなくリセットされた上での挑戦がスタート。
✅ Grattis till första men inte sista baljan för Hammarby, Viktor!#Bajen pic.twitter.com/dUsTsqDuUG
— Hammarby Fotboll 🏆 (@hammarbyfotboll) February 25, 2023
リーグ開幕前のスヴェンスカ・クッペン(国内カップ)にて調整も兼ねながらデビューを飾ると、ノルビーIF(3部)を相手に移籍後初ゴールを記録。カップ戦は準決勝で敗れるも、満を持して迎えた2023年4月のデーゲルフォシュIF戦にて開幕スタメンの座を手にしており、そこで彼は名刺代わりとなる初ゴールを決めるなどブドゥチノストと同じくリーグデビュー戦でそのまま初ゴールを記録した。
最初の壁となる得点を早々にして乗り越えたことは大きく、その後の試合でも肩の力を抜いて臨めるような心理的余裕が彼に生まれており、そこからヴァールベリBoIS:第4節、マルメFF:第5節でも立て続けに得点を重ねながらスウェーデンでも通用することを彼は証明。最終的にスウェーデンでの2023年シーズンはリーグ戦で25試合(1413分)11得点と加入1年目ながらチームのトップスコアラーとしてブレイクすることに成功し、期待通りの活躍にて一気に注目株へと名乗りを上げているところだ。
代表歴
2018年秋にモンテネグロU15としての活動を機に、現在に至るまでモンテネグロ代表のユニフォームを着用しながら代表キャリアを駆け上がっている。16歳でU17、17歳でU19、18歳でU21とブドゥチノストでの活躍が評価されながら飛び級で世代別代表を通過すると、そのまま2022年6月のUEFAネーションズリーグBにおいてフル代表デビューも達成した。
余談だが2017年10月にはFSS(セルビアサッカー協会)によって2004/05世代を対象とした冬季キャンプに参加しており、13歳当時ではあるが一時的にセルビアとの関係性もあった形跡が残っている。
移籍の噂
ハンマルビーとは移籍加入時に2027年12月末までとなる5年契約を交わしているが、瞬く間にスウェーデンで適応した事実から多くのクラブからの問い合わせが届いている状況だ。2023年9月の時点でイタリアのボローニャとジェノアが動いていたほか、OHルーヴェン(ベルギー)とクラブ名は明かされていないがMLS(アメリカ1部)クラブからは具体的なオファーを提示されるも、ハンマルビーは拒否したことが報じられている。
ハンマルビーのチーフスカウトを務めるミカエル・イェルムベリは彼を売る気がないと語っており、現時点では断りようのない破格のオファーが提示された際のみで動きを考えると伝えているため、彼を獲得する際に必要と考えられる金額はヴィリオット・スヴェドベリによって記録されたクラブ・レコードとなる550万ユーロに匹敵するものになるだろう。
プレースタイル
センターフォワードでもプレー可能だが、主戦場を左ウィングとしている右利きのアタッカーだ。最大の特徴はドリブルとフィニッシュ能力にあり、足の速さを活かした縦突破も魅力的だが、それ以上にカットインに自信をのぞかせている。こうした1vs1の強さに定評があるほか、シュートセンスにも優れており特に掴まえづらいカットインからのシュートは代表的な得点パターンとしており、突破からのゴールという求められる要素を満たしている。
身長も184cmと理想的であり、ボール保持者の死角から足のリーチを活かした絡め取るようなボール奪取も得意とする。おそらく欧州のTOPリーグでも通用するような才能であると考えられるため、モンテネグロ人選手が特に成功しているイタリアでのプレーが望ましいだろう。
小ネタ
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FKスティエスカ・ニクシッチでのユース時代には当時のTOPチームに所属していた志村騰(現:ポートFC)との写真が投稿されているなど、日本人選手とは海外挑戦先として主流であったモンテネグロ国内での交流がある。