名前 | イゴール・パイシャオン(Igor Paixão) |
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生年月日 | 2000年6月28日 |
国籍/出身 | ブラジル(マカパ) |
身長 | 168cm |
ポジション | WG |
所属 | コリチーバFC |
※イゴール・パイシャオとも表記される
黄金世代の陰で這い上がる逆襲の才能
プレー動画
経歴
■2000-2014年(幼年期~ジーコ10)
ブラジル北部の自然豊かな土地にあるアマパー州。そんな同州の中心地であるマカパにて彼は誕生した。ルーツを辿れば祖父母はかつて奴隷時代に命からがら逃げることに成功したアフリカ系ブラジル人『キロンボラ』の子孫であり、アマパー州に生を受けたのもルーツゆえのものであった。
7歳の頃に地元クラブであるサン・ジョゼの室内サッカーを観に行ったことがすべての始まりであり、同クラブではU9、U11、U13カテゴリでの優勝や個人タイトルとしても最優秀選手賞や得点王にも輝くような成績を収めていたという。そして13歳になるとブラジルのレジェンドであるジーコ氏のサッカースクールとなる『ジーコ10』のマカパ校に入団。そこで初めてフィールドサッカーに触れると、U13とU15カテゴリの両方で目立ったことによって、父のジョゼ・パイシャオンは息子をセレクションに参加させることを決断している。
最初のセレクションはアマパー州のU14カテゴリであったが、そこではアマパー州ではない地域のスカウトからも興味を持たれており、そのなかに含まれていたのがコリチーバFCであった。その後、マカパから約2,800kmの距離にあるクリチバでのセレクションを受けると、40人の少年たちが参加するなかで唯一契約を勝ち取ったのが彼となり、2014年5月に遠く離れたクリチバでの生活がスタートしている。
■2014-2022年(コリチーバ)
コリチーバでの4年目となる2018年シーズンには18歳ながらU20とU23の試合に出場。2019年1月のトレド戦にてカンピオナート・パラナエンセ(パラナ州選手権)、2019年6月のグアラニー戦ではセリエB(ブラジル2部)でのトップデビューをそれぞれ飾っていたが、信頼を得るまでには至らず出場時間は11試合(323分間)のみに留まっていた。
そのため、2020年シーズンは出場機会が必要だとしてセリエC(ブラジル3部)に在籍していたロンドリーナECに期限付き移籍にて加入。デビュー戦となったPSTC戦で貴重な勝ち越しゴールを奪うと、そこからはチームの戦力として認められるように州選手権では10試合、セリエCでは20試合に出場し、最終的にはクラブのセリエBへの昇格に貢献するなど充実したシーズンをプロになって初めて経験している。
これらの活躍から2021年シーズンはコリチーバに復帰することが決まり、セリエBでは34試合で7得点5アシストを記録しながらセリエA(ブラジル1部)の昇格に貢献。復帰後にチームの戦力であることを証明した彼は、続く2022年シーズンでも前年を上回るペースにて得点を量産(現時点で22試合8得点6アシスト)することで、その存在は国内リーグでも有望な選手の一人として位置づけられるまでに成長しているところだ。
代表歴
ブラジルの2000年生まれ世代はヴィニシウス・ジュニオールを中心とした黄金世代であり、同世代である彼は世代別代表で関与することはなかった。今後の活躍次第では彼らに追いつき、さらには追い越すような存在になることも期待できる。
移籍の噂
コリチーバFCとは2024年12月末までの契約を残しているが、2021年にはブラジルの3クラブからの関心と、UAE(アラブ首長国連邦)、ポルトガル、そして日本のクラブからの問い合わせも届いていたという。それでも2022年シーズンにセリエAでの新たな挑戦ができることから残留を決断しており、ヨーロッパに向けては約5000万ユーロの違約金設定にてクラブは強気な姿勢を見せている。
プレースタイル
一人だけ流れている時間軸が違うように錯覚させるようなウィンガーであり、速さを表現するSAQ(スピード・アジリティ・クイックネス)をすべて満たしているような存在だ。168cmの小柄な体格が攻撃においては良い効果をもたらしており、意外にもヘディングでゴールに関与するなど彼たる所以がプレーに現れていると言えるだろう。
当然ながら足元の技術に長けているだけでなく、右足の精度はプレースキッカーも任されるような高品質なものがあり、強烈なシュートも備えているなど選択肢の幅は多い。スピードで翻弄させながらもゴール前では冷静な選択を行なうことが可能なため、対峙するディフェンスにとっては彼が予測不可能な存在だ。