名前 | エステバン・ウィリアン(Estevão Willian) |
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生年月日 | 2007年4月24日 |
国籍/出身 | ブラジル(フランカ) |
身長 | 172cm |
ポジション | RWG |
所属 | SEパルメイラス |
※メッシーニョとも表記される
エンドリッキに次いでパルメイラスの下部組織に控える宝石
プレー動画
経歴
■2007-2021年(幼年期~クルゼイロ)
ブラジル・サンパウロ州でも約36万人の人口規模を誇る都市、フランカに彼は誕生している。家族は牧師である父親のイヴォ・ゴンサルヴェスと母、妹という構成であり、息子エステバンの物語は、サンパウロの大会で彼の姿をみたベロオリゾンテ(ミナスジェライス州)の代理人がクルゼイロECに紹介したことがすべての始まりであった。
父親とその代理人はプレー集となるDVDを自作し、それを持ってクルゼイロに働きかけると、そこでベベトの愛称で親しまれる人物をわずか数分間で魅了。即座にクルゼイロに連れてくるよう評価され、当時8歳ながらクルゼイロのU9/U10に加入している(このベベトはU9のコーチも務めており、彼の最初の指導者にもなっている)。フランカの教会からミナスジェライス州に引っ越すことへの障壁もあったが、クルゼイロ側がクラブの資金到達関連のアドバイザー職を与えたことで家族揃ってやってくることが可能となった。
2016年に南米最大級のジュニアサッカートーナメントである「Go Cup」のU10部門に出場すると、そこで圧倒的な才能を披露したことでサントス、バスコ・ダ・ガマ、ボタフォゴ、フラメンゴといった国内中のスカウトが彼に接触を図ったという。この出来事にはクルゼイロ側も事情を説明せざるを得ず、エステバンが特別であることを語りながら他の誘いには乗らないよう説得を行っている。この頃の活躍によって『Messinho(メッシーニョ)』というリオネル・メッシになぞらえた呼び方もされるようになっていた。
2018年2月には10歳9ヶ月でナイキ社とのアスリート契約を交わしており、これはネイマール-13歳-とロドリゴ・ゴエス-11歳-よりも若い史上最年少契約として話題となっていた(2020年8月にフラメンゴのウィリアン・ナシメントが10歳4ヶ月で契約したことにより更新)。同時期には2ヶ月後に11歳の誕生日を控えた10歳ながらU13の大会にも出場するほか、全額の奨学金が提供されている学校でフットサルにも取り組むなど、クルゼイロでの輝かしい未来が待っていると思われていたが事態は突如として終わりを告げる。
2020年11月、クルゼイロのクラブ内でマネーロンダリングや横領といった組織犯罪が行われたとしてミナスジェライス州の公共省に訴えられると、クルゼイロの元取締役も含めた被告の1人として父親であるイヴォ・ゴンサルヴェスの名前も挙がっていたのだ。これは前述で触れたように、クルゼイロで資金到達アドバイザーとしての職に就いていたことから、資金洗浄(出所を消して正当な手段として得た資金と見せかける行為)の罪で起訴された背景となっている。
父親が関与した事件の内容としては、彼が11歳となってから1ヶ月後の2018年5月に設立された「EW10 Sports Ltda(EWはエステバン・ウィリアンの略称と思われる)」とクルゼイロの関係によるものであり、同社がクルゼイロの発展のために選手を推薦するとして月額1,0000レアルの報酬契約を交わしていたことから始まっていた。この契約におけるクルゼイロでの扱いが「プライベート・アスリート契約」として記載されており、約11ヶ月間の契約が続けられているのだが、問題となっているのが「ペレ法」における児童の経済的権利が認められないことによるものであった。
また、実業家のクリスティアーノ・リチャードがクルゼイロに対して200万レアル(約5100万円)の融資を行なった際に、クルゼイロがそれらを返済できる経済的な条件が備わっていないとして、リチャード氏に対してプロとユースを含めた10選手の保有権を20%譲渡するという契約が行われていた。その10選手にエステバンが含まれていたことで、上記と同様に経済的な権利が認められないことから問題視されている。
こうした一連の騒動に巻き込まれながらも、クルゼイロとしては将来有望なエステバンを手放すことは避けるべく和解を求めており、秘密裏に副会長のアドバイザーとして関係性を築いていたという。世間的には騒動によってクルゼイロからの退団が予想されていたこともあり、エリック・アビダルが視察に訪れるなど話題となっていたが、新たにクルゼイロのアカデミー・ディレクターに就任した人物によって管理されるなど交渉には至っていない。この頃はエステバンも残留に前向きであるという報道もあったが、2021年5月より『SEパルメイラス』へ移籍することとなった。
このパルメイラスへの移籍も当然ながら騒動となっており、クルゼイロとしてはトレーニング契約が可能な14歳に向けた準備をしていたが、パルメイラスからのアプローチによって後に「私は巻き込まれた」と父親が語るように退団を決意。クルゼイロは彼が前脛骨結節を骨折した際の通院歴などで有効な契約があることを主張していたが、パルメイラスはトレーニングクラブとして登録されていないとの見解で獲得に成功している。クルゼイロからは不義理や不道徳といった批判が聞こえるのも当然の喧嘩別れであった。
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■2021-2022年(パルメイラス)
パルメイラスではU15から始まるも、COVID-19の影響や環境の変化もあり初年度は17試合3得点で終了。2022年シーズンから本格的な活躍を残し始め、15歳でパルメイラスU17に組み込まれながら、カンピオナート・パウリスタU17、コパ・ド・ブラジルU17、カンピオナート・ブラジレイロU17の3冠達成に貢献しており、シーズンを通してU17では34試合23得点、U15では4試合8得点と期待を裏切らないパフォーマンスであった。2023年からはパルメイラスU20でプレーする見通しであるが、レアル・マドリードへの移籍が決定しているエンドリッキのように飛び級でトップチームに介入する可能性もあるだろう。
代表歴
2022年9月に15歳でブラジルU17に招集されており、10月のトレーニングに参加している。目先の目標としては4年ぶりに開催されるU17南米選手権(2023年3月)の優勝にあり、さらには同じく4年ぶりとなるU17ワールドカップ(2023年11月)が視野に入っているなど、彼の名前がより広まるような舞台が控えている。
移籍の噂
プロ契約が可能な16歳となる2023年4月までは待機が必要であり、報道では最初の契約で5000万ユーロの違約金が設定される見通しとなっている。国外への挑戦はさらに先の18歳となる2025年夏の移籍市場が最短であり、そこに向けてアプローチを行うクラブも多いだろう。現時点でその動きを見せているのはバルセロナ、レアル・マドリード、パリ・サンジェルマン、チェルシー、アーセナルだ。
代理人を務めるのは、クルゼイロ時代の騒動で父親の弁護も行なったアンドレ・キュリーであり、バルセロナの元スカウト、そしてネイマールをバルセロナに連れてきた際の代理人である人物によって管理されている。
プレースタイル
メッシーニョの由来にもなっている左足(利き足)が活かせるよう右ウィングを主戦場としており、最大の特徴はカットインからシュートまでの一連の流れだろう。優れたボディバランスと敏捷性によってシンプルに相手を置き去りに中央に侵入すると、寄せるか否かの選択肢を迫られたセンターバックを待たずにロング/ミドルレンジからでもゴール上段隅に叩き込む姿は印象的なパターンとなっている。
パスセンスも非凡であり、クロスの精度が高いことからプレースキッカーも任されるなドリブルとシュート以外にもピッチ上で個性を表現しているが、不安要素は右足にあるだろう。基本的には縦への突破でも中へのコースを開けなければディフェンダーとしては驚異にすることはなく、よりトップレベルでは壁として立ちはだかる可能性もあるはずだ。それでも、圧倒的なセンスを駆使したプレーは同世代では飛び抜けたものを持っている。