名前 | パウル・ヴァナー(Paul Wanner) |
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生年月日 | 2005年12月23日 |
国籍/出身 | ドイツ(アムツェル) |
身長 | 185cm(※推定) |
ポジション | AMF |
所属 | バイエルン・ミュンヘン |
バイエルンの歴史に名前を刻んだアムツェルの大きな才能
プレー動画
経歴
■2005-2018年(幼年期~ラーベンスブルク)
ドイツ南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州テュービンゲン行政管区に属しているラーベンスブルク郡。そんな同郡内の人口約4,263人という小さなコミュニティにてパウル・ヴァナーは誕生した。父親のクラウス・ヴァナーは1993/94シーズンにSCアウストリア・ルステナウを2.リーガ(オーストリア2部)に導いた際のキャプテンとして知られる元プレーヤーであり、母親もオーストリア人という家庭環境からオーストリアの二重国籍も保有している少年だ。
地元のSVアムツェルでクラブキャリアをスタートさせている彼は、自身が通っていたアムツェル小学校でも印象的な姿を見せており『3ライオンズカップ』というバーデン=ヴュルテンベルク州の小学校3~4年生を対象とした大会に挑んでいた。2015年度の大会では父クラウスを指導者として5位の成績を収めると、2016年度にはチームキャプテンとしてチャンスやゴールを量産するなど、約1,300校が参加した同大会で初の栄冠をもたらしている。
Grundschule Amtzell gewinnt 3-Löwen-Cup
クラブではSVアムツェルのE-ユーゲント(U11)を経てより大きなSVラーベンスブルクに加入すると、当初からその才能は明らかであったとSD(スポーツディレクター)であるヴォルフガング・グリューンシュナーベル氏は回想する。「彼は信じられないほど速く、素晴らしいテクニックを持ち、さらによい性格を持った少年。」と語られた才能は12歳でU15オーバーリーガ(ドイツU15リーグ)でプレーするほどであった。
SVラーベンスブルクはSCフライブルクと育成部門の提携関係にあるため、彼もまたフライブルクのユースでプレーする機会を与えられていたが、それ以上にシュトゥットガルトやアウグスブルク、ホッフェンハイム、そしてバイエルン・ミュンヘンといった多くの1部リーグクラブからの熱い関心を集めていたという。そして2018年夏にラーベンスブルクの育成力を証明するモデルケースとしてバイエルン・ミュンヘンに活躍の舞台を移している。
■2018-2022年(バイエルン・ミュンヘン)
バイエルンにはU14のゲストプレーヤーとして招待されていたことから素早く順応すると、初年度はアリヨン・イブラヒモヴィッチらとU14/U15でプレー。2019/2020シーズンではカテゴリをバイエルンU16に移行するも、COVID-19の影響を受けたことでシーズン途中で終了となる不完全燃焼な時期であった。翌2020/21シーズンもU16でプレーした後、2021/22シーズンよりバイエルンU19に昇格している。
新たに就任したダニ-・ガルムの管轄下に置かれると、A-ユニオーレン・ブンデスリーガ(ドイツU19リーグ)では開幕節となるSCフライブルクU19戦でデビューを飾り、年内(2021年)ではU19リーグの9試合(588分)で2得点2アシストを記録。UEFAユースリーグでは苦戦を強いられグループラウンド敗退に終わるも、COVID-19が彼の新たなストーリーに一役買っていた。
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COVID-19やアフリカ・ネイションズカップの影響でトップチームの選手に不足が出ると、ユリアン・ナーゲルスマンが招集したユース選手のなかに彼も含まれており、2022年1月7日に行われるブンデスリーガ(ドイツ1部)第18節のボルシア・メンヒェングラートバッハ戦に向けたトレーニングに帯同。出場する可能性は低いと思われていたが、1点のリードを許していた後半30分にマルク・ロカとの交代にてトップデビューを飾ると、バイエルン・ミュンヘンにおける史上最年少のリーグデビューとなったほか、ブンデスリーガ全体でもユスファ・ムココに次いで史上2番目の若さという記録を樹立している。
代表歴
オーストリアを代表する資格を持っているが、世代別代表では生まれ故郷のドイツを選択しており、14歳の誕生日を直前に控えた2019年12月には13歳の若さでドイツU15に名を連ねている。2021年8月にはポーランドU17との親善試合にてドイツU17でのデビューを飾ると、2021年10月のU17欧州選手権予選では3試合で2得点3アシストを記録するなどチームを牽引している。
移籍の噂
バイエルン・ミュンヘンとの契約は2022年6月末まで終了するが、それまでにプロ契約を締結することは既定路線だろうと予測されている。トップチームへの正式な昇格前にはレギオナルリーガ(ドイツ4部)に属するセカンドチームのバイエルンⅡを経由することも考えられるが、もしかすると飛び級でのトップ昇格という可能性も秘めていることだろう。
プレースタイル
No.10とNo.8の役割をメインとした左利きの攻撃的なミッドフィールダーだが、優れたセンスを持っているためサイドアタッカーでもそつなくプレーすることができる特徴を持つ。推定185cmのスラッとしたスタイルは細さが目立つもの、軽快なテクニックとボールタッチはカイ・ハヴァーツを彷彿とさせており、ドイツU16のナショナルコーチであるマルク=パトリック・マイスターは彼を若き日のアレクサンドル・フレブと比較している。
SVラーベンスブルクの所属時から彼の両親は頭でサッカーをする大切さを理解していたと語られるように、優れたテクニックに加えて特徴的なのは状況判断能力に優れている面だろう。広い視野で前線の動き出しを見逃さず、相手ディフェンスも予期しないような独特なタイミングでパスを供給しながらリズムを与えるのも得意としている。既にサッカーセンスはトップチームでも通用するように感じるため、当面はフィジカル面の強化が課題だ。